小川は混乱していたスタジオに入ってミュージカル調に解決策のガイドラインを歌う。「みんな誰かの娘。娘が嫌がることはしない。娘が喜ぶことをする」と。
河合優実の演技にも注目
今回のドラマは、「昭和のおじさん世代」と「Z世代」の対立と観てもいいだろうし、昭和がいかに令和のPCとは違っていたことに驚くのもいいだろう。筆者はクドカンによるPCの解決策の提案と見た。どれが正しくて、どれが間違っているとはいえないだろう。
脚本の宮藤官九郎と主演の阿部サダヲは、松尾スズキが主宰する演劇集団にしてプロダクションの「大人企画」に所属している。宮藤官九郎による公演に招聘した女優のなかには、才能の幅を広げた人材が多い。
筆者が観たなかでは、山本美月がいる。「獣道-一直線!!!」(2020年・パルコ劇場)がある。脚本はクドカン。山本は連続殺人事件にからむ謎の美女を演じた。
今回のドラマでは、阿部サダヲの長女役を演じる河合優実である。彼女は実は最近の映画監督に最も起用されている女優のひとりである。しかも、代表作に事欠かない。
「愛なのに」(城定秀夫監督・2022年)では、古書店を営む30歳の中年役の瀬戸康史に結婚を申し込む高校生役を演じた。かつての原田知世をほうふつとさせる表情豊かに純愛を告げる。
「冬薔薇(ふゆそうび)」(阪本順治監督・2022年)では、不良女子高校生グループのリーダー。不良とはいえ一筋通す義理堅い難しい性格を演じた。
筆者も「推し」のひとりに加わった女優のひとりである。小松菜奈や清原伽耶、蒔田彩珠らは10歳代に代表作を撮っている。大学卒業早々に代表作を連発している河合優実も若手のトップ女優陣に加えてよいだろう。
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