2024年7月20日(土)

田部康喜のTV読本

2023年12月16日

 連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK総合)は戦時下の日本を描きながら、ウクライナ戦争やイスラエルとガザの紛争など『第三次世界大戦はもう始まっている』(エマニュエル・ドット、文春新書)という世界の戦争と紛争のなかに生きる人々に対する心情と共鳴する傑作である。

(Aleutie/briddy_/ergey Proskurin/Wiyada Arunwaikit/SimoneN/gettyimages)

歌で魅せる朝ドラ

 戦前と戦後を歌手として活躍した笠置シズ子をモデルにしたヒロイン花田鈴子(趣里)は女性の成長を基盤とするテレビ小説の伝統を受け継ぎながら、社会の動乱に翻弄される人間である。

 最近のテレビ小説では東日本大震災を背景として宮藤官九郎が少女の成長の軌跡を描いた大ヒットドラマ「あまちゃん」(2013年度前期)と共通する。戦中の日本と世界のいまがつながる「ブギウギ」はテレビ小説の歴史に刻まれる名作となるだろう。

 ヒロイン趣里が笠置シズ子のヒット曲を歌うのは、日本の映画やテレビの伝統にもつながる。日本経済新聞の「私の履歴書」を連載中の倍賞千恵子の「下町の太陽」、吉永小百合を代表とする日活の青春映画、山口百恵の「伊豆の踊子」はすべて主演女優が主題歌を歌っている。最近では欅坂46の平手友梨奈が映画「響-HIBIKI-」の主題曲として「角を曲がる」を歌っている。ブギウギの主題歌「ハッピー☆ブギ」は趣里がEGO-WRAPPIN’のボーカル・中納良恵とシンガーソングライターのさかいゆうとともに歌う。

 劇中歌がこれほどCD化されたテレビ小説もないだろう。笠置シズ子をモデルにした花田鈴子を演じる趣里ばかりではなく、「ブルースの女王」と呼ばれた淡谷のり子をモデルにした、茨田りつ子役を演じている菊地凛子による淡谷の代表作も、ふたりの作曲した服部良一の孫である隆之の編曲によって現代に蘇った。


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