2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月20日

 Foreign Policy誌(電子版)が1月29日付けで掲載した論説‘U.S. Troops Are Dangerously Vulnerable in the Middle East’が、シリアとイラクにいる米軍は、イランの代理勢力の攻撃目標となっており、危険にさらされているので撤退させるべきであると論じている。要旨は次の通り。 

シリア北東部カミシュリにて警備に当たる米軍主導の連合軍の兵士(ロイター/アフロ)

 米軍は、「イスラム国」掃討作戦を支援し、シリア、イラク、レバノンでのイランの活動を監視するためにこの地域に駐留している。1月下旬(ヨルダンとシリアの国境付近にある米軍基地へのドローン攻撃で)3人の米軍兵士が殺害されたが、米軍はガザの衝突が始まって以来、イランの代理勢力から100回以上攻撃され、これまでにないほど危険な状況になっている。今こそ米軍を駐留させ続けることのリスクについて考えるべきだ。

 抑止力を回復し、米国の力を示すためにイランと対決するべきだという要求が強まっており、バイデン政権は、衝突せずに済んだはずの敵対勢力(イランの代理勢力)との衝突に巻き込まれていることに気が付くだろう。この地域に兵力を展開し続けることは米国の安全保障を改善しないが、他方、ワシントンでは、イラクとシリアに駐留する米軍兵士の直面するリスクを軽視する傾向がある。確かにほとんどの攻撃は、米軍兵士の殺害よりも、状況を混乱させることが目的であるが、今回の攻撃(米軍兵士の死亡)が警鐘となるべきである。

 現在の脆弱な状況は、米軍の前方展開の脆弱性を示している。前方展開を進めれば進める程、敵対勢力の縄張りに近づき、より攻撃に遭いやすくなる。

 もちろん、小部隊を「おとり」として意図的に前方展開することはあるが、イラクに駐留する米軍は、「おとり」では無い。しかし、「おとり」になってしまっている。


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