2024年11月22日(金)

プーチンのロシア

2024年3月26日

 ウクライナ戦争は、ロシアを崩壊させる可能性がある。政権、軍、経済は弱体化している。すぐに改善することはまず無い。

 一方プーチン政権は弱まるどころか、むしろ強くなっているという意見もある。ロシア崩壊論を批判する評論家は、2年後ロシアは驚くほど健全な状態にあるはずだと述べている。でも本当か? 本当なら、外国はロシアがさらに強力になる前に、今すぐロシアと交渉したほうがいい。

 ロシアはいつ崩壊するのか? 政権崩壊に関するほとんどの議論は、ロシアで何か深刻な不安定化を予想している。それは明日かもしれない。今から5年後になるかもしれない。でも兎に角崩壊は近づいている。

 ロシアが強くなっているという主張は、人々がプーチン政権、戦争、経済、ロシア国民を独特な方法で解釈していることに由来する。プーチン大統領は自信を示しているが、大統領は、自信過剰と同じくらい無知だ。

 彼は治安組織を強化し、リベラル派や右派を逮捕し、彼のプロパガンダ機関はフル稼働している。しかしこれらは強さの表れではない。大統領は理由があるからそうしているのだ。

プーチンの弱点はロシアの弱点

 ウクライナ開戦でロシアの経済指導者、軍部、有力エリートの不満を買った。プリゴジンのクーデター未遂は軍内部の不満を物語っていた。しかも治安機関の貢献がなければ、彼のクーデターは不可能だったという事実も大統領にとっては心配の種だ。 

 プーチン大統領の弱点はロシアの弱点でもある。すべての権威、全体主義、ファシズム、独裁体制は、大統領に集中化されている。最高指導者が全能の王者なら兎も角、この集中化は致命的な弱点だ。

 大統領は変化や改革に抵抗し、お調子者を寵愛し、カリスマ性を失い、戦略的な間違いを犯しやすい。プーチン大統領の最も重大な誤りは、13年末にウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領に欧州連合との連合協定から撤退するよう圧力をかけ、「尊厳革命」を引き起こしたという事実だ。

 進行中のウクライナ戦争はロシアにとって悲惨なものだ。ウクライナの反撃は昨年の冬の間ドンバスとザポリージャで停滞したが、キーウ、ハリキウ、ヘルソンでロシア軍を破った後、ロシア陸軍は壊滅しつつあり、海軍は黒海の西部から押し戻されている。

 2年間の戦闘で、ロシアはウクライナに侵攻した約36万人の地上軍の内、少なくとも31万5000人の死者または重傷者を失った。また、約 3500 両の戦車のうち 2200 両と装甲車両の 3 分の 1 を含む、装備品にも多大な損失を被った。これらは単なる偶発的な問題ではない。ロシア軍の根本的かつ構造的な破壊を物語っている。


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