2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月5日

 他方で、ドイツの態度もそう褒められたものではない。ドイツは昨年後半くらいから、対ウクライナ軍事支援は米国に次ぎ第二位であることを強調し、他国(主に念頭に置かれているのはフランス、イタリア、スペインあたり)に対して支援を増やすよう求めるとの姿勢を鮮明にしているが、これは「ドイツは軍事支援に慎重」との内外でのイメージに対して攻勢防御に出たものではないかと思われる。

 しかし、ドイツのウクライナ支援については、①メンテナンスが不十分なため供与された武器のうち一部しか使われていない、②対GDP比は欧州連合(EU)/NATO諸国中10位ほどにすぎない、③英仏が既に巡航ミサイルを供与したにもかかわらずタウルス巡航ミサイル供与を頑なに拒んでいる、等の批判がつきまとっており、負のイメージの払拭は容易ではない。

危機の最中という意識はあるのか

 いずれにしても、最近の独仏関係が控え目に言っても相当に深刻な状態にあることは否定しようがない。シュミットとジスカールデスタン、コールとミッテランの緊密な関係に対して、ショルツとマクロンの波長が合わないことはもはや公然の秘密であるが、問題は独仏のギクシャクがウクライナ侵攻という欧州にとっての危機の最中に続いていることである。

 本来であれば、両国は米国の支援が滞る中、欧州のウクライナ支援確保に奔走する立場にあるし、今後のロシアとの関係を見据えて欧州全体の軍備の増強、欧州の防衛産業の強化に主導的役割を果たすべきこところであるが、相手からすぐに拒否されるようなアイデアをぶち上げたり、「自国は十分に支援しているから、後は他の国がやるべき」と言い立てたり、両国の振舞は期待値からはほど遠いものがある。

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