Economist誌3月2日号は、 ‘France and Germany are at loggerheads over military aid to Ukraine’(対ウクライナ軍事支援を巡る仏独の不和)題する解説記事を掲載、ウクライナへの地上兵力派遣やミサイルの供与についてのマクロン大統領発言を巡って、仏独間の不和が露呈していると解説している。要旨は次の通り。
マクロン大統領は2月26日のパリでの首脳会議でウクライナに対する欧州の団結を誇示したかったのであろうが、実際には会合は対ウクライナ軍事支援を巡る仏独の見苦しい応酬をもたらした。
マクロンは「ロシアの敗北が欧州の安全保障と安定に不可欠」と宣言し、ロシア深部を攻撃するためのミサイルの供与を約束した。更に、地上兵力のウクライナへの派遣(フランス政府関係者は後に非攻撃目的と釈明)を排除しないとも述べた。
ドイツからは直ちに反発があり、ショルツ首相は、「欧州諸国あるいは北大西洋条約機構(NATO)からの地上兵力の派遣はない」とツイートし、ハーベック副首相は「自分は仏に軍事支援を増やせとアドバイスしたい」と述べた。同氏の反応は、ドイツ及び他の欧州諸国において仏の不十分な支援への批判が高まっていることを反映している。
キール世界経済研究所の統計ではフランスがコミットしたウクライナ支援は18億ユーロ、うち軍事支援は6億4千万ユーロで、同盟国中14位である。国内総生産(GDP)比は0.1%で、英0.5%、独0.6%、エストニアの3.6%に見劣りする。
英国のシンクタンクIISS(国際戦略研究所)のRym Momtazによれば、仏の支援にはCAESAR榴弾砲、SCALP巡航ミサイルのような強力な兵器が含まれるが、その数量は限られており、フランスの支援は軍事大国としての地位に見合うものではない。