2024年5月18日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月22日

 ウクライナの攻撃はロシアの製油能力の10%ないし14%を破壊した。ウクライナの目標はロシアの戦争努力を混乱させることにある。製油所の攻撃は燃料の流通を混乱させ、戦争をロシア人に身近なものとするであろう。

 ウクライナのロシア領内に対する攻撃は戦争の帰趨を決めはしないだろうが、ウクライナの弾薬と防空手段が底をつきつつあるため他のオプションには制限があることから、この攻撃は重要である。プーチンが戦争をエスカレートさせ続けている一方、ホワイトハウスはエスカレーションと受け取られ得ることに対するロシアの反応を心配している。

 より大きな地政学上のリスクは、ウクライナがロシアの侵略に屈するなら何が起きるかということである。もし、米国が更なる武器弾薬を提供しないのなら、最小限出来ることはウクライナの邪魔をしないことである。

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理屈が立たないバイデンの指摘

 この社説の論旨には賛成できる。フィナンシャル・タイムズ紙の報道によれば、ホワイトハウスがウクライナによるロシアの製油所の攻撃に苛立っているのは、それが米国内のガソリン価格を含め石油価格を上昇させ、バイデンの再選戦略にとって不都合と見做しているためらしい。また、カザフスタン原油の主要輸出ルートである、ロシア領を通って黒海に至るCPCパイプライン)ExxonMobil や Chevronも使っている)をロシアが報復として襲うことをホワイトハウスが怖れているためでもあるらしい。

 しかし、国の存亡がかかる深刻な危機に直面するウクライナに対し、その数少ないオプションの一つである自国のドローンによるロシア領内の製油所攻撃を思い止まらせる理屈は立たない。この種の攻撃がロシアの戦闘能力を阻害する効果を持ち得ることに疑問はない。


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