2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2024年5月15日

 一方で、中小企業は深刻な人手不足を感じており、業績が改善しない中でも防衛的な賃上げを余儀なくされているという見方もあります。東京商工会議所の調査によれば、24年度に賃上げを予定している企業は全体の61.3%で、そのうち60.3%が業績の改善が見られないにもかかわらず賃上げを予定しています。一方で、賃上げを見送る企業では、「売上の低迷」や「原材料費のコスト負担増」、「人件費の価格転嫁が難しい」など、原資確保における課題が指摘されています。

“掛け声”だけでは不十分

 企業同士が賃上げをためらっている場合、春闘の掛け声で「みんなで賃上げをしましょう」と促すことで、社会的な協調の失敗を是正し、春闘は一定の役割を果たします。しかし、賃金を持続的に上昇させるには、掛け声だけでは不十分で、労働生産性の向上が不可欠です。

 生産性の向上には、中長期的な視点で生産性が高い分野への計画的かつ集中的な設備・研究開発投資、リスキリングによるキャリアアップ、そして労働移動円滑化が求められます。また、人手不足が進む中、省力化やAIなどの新技術への投資を進めるべきでしょう。

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