2024年12月22日(日)

はじめまして、法学

2024年5月22日

 連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBSテレビ)など、法曹の世界に生きる人々を描いたドラマが話題を呼んでいます。法は、自然科学のような不変の法則とは異なり、「解釈」を変えることによって、あるいは「立法」することによって、時代に応じて変化を続けています。
 今回の記事では、法的な視点から現代の離婚に伴う問題を解説。財産分与、慰謝料、扶養、親権など…当事者間での平和的解決が困難な場合はどのような手続きが行われるのでしょうか。
*本記事は中央大学法学部教授の遠藤研一郎氏の著書『はじめまして、法学 第2版 身近なのに知らなすぎる「これって法的にどうなの?」』(ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
 

1時間に24件あまりの夫婦が離婚している?

 結婚したものの、いろいろな原因で離婚に至ることがあります。厚生労働省の「人口動態統計特殊報告」によると、令和2(2020)年の離婚件数は、19万3253件です。単純計算で、1時間に24組あまりの夫婦が離婚していることになります。熟年離婚は高止まり状態。また、近年増加している国際結婚の場合は、離婚率もさらに高くなるのが現状です。

(mofles/gettyimages)

夫婦間での平和的解決が難しい場合には?

 離婚の方法には、主たるものとして、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。このうち、協議離婚とは、夫婦間の協議を経て合意に達した場合に離婚届を提出して成立する離婚です。離婚全体の88%程度を占めます。

 しかし、当事者だけで協議が整わない場合には、家庭裁判所に夫婦関係調整の家事調停を申し立てます。家事調停とは、裁判所(家事裁判官と家事調停委員からなる調停委員会)が間に入りながら、当事者の話し合いによる自主的解決を目指すものです。これが調停離婚です。

 調停を行わずに、いきなり裁判をすることはできません(専門的にこれを、「調停前置主義」といいます)。離婚に際しては、夫婦で得た財産の清算、財産分与、慰謝料、離婚後の扶養、親権者などの問題を解決するため、夫婦間の話し合いが欠かせないからです。離婚全体の10%程度を占めます。


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