子どもの親権はどうなる?
離婚に伴い、子どもはどのようになるのでしょうか? 子は、父母が婚姻をしている間は、その共同の親権に服します(民法818条3項)*2。つまり、父親と母親の両者のもとで育てます。
では、両親が離婚をしたら? 日本では、その場合、どちらか一方が親権を持つことになります。親権者になったほうが、子どもを引き取り、監護・教育し、財産管理を行います。非親権者は基本的に口出しできません。ですから、時には、親権をめぐって、激しく父親と母親が争う場合もあります。
映画「クレイマー、クレイマー」*3は、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが共演した名作です。タイトル名は、もともと夫婦だったクレイマーさん(夫)とクレイマーさん(妻)が争っているので、〝Kramer vs. Kramer〟です。仕事第一主義だった夫のテッドが、息子ビリーとフレンチ・トーストを作るシーンや、自転車の練習をするシーンは、あまりにも有名です。そして、子の親権をめぐる裁判の結末は─。
離婚をした後は、通常、元の夫婦は別々のところで暮らしますので、子は、一方の親と暮らし、もう一方の親とは暮らせないことになります。しかし、夫婦の絆はなくなっても、親子の絆はなくなりません。親子が互いに会うことができないことは、子の福祉の観点から望ましくないとも考えられます。そこで、親子が別居している場合に、その親子が面会することが認められています。これが、面会交流権*4です。
なお、諸外国では離婚後の共同親権を認める国も多く、日本でも、近時、共同親権制度の導入についての検討が活発となっています。
*2 【民法818条】③親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。(後略)
*3 1979年公開のアメリカ映画(日本公開は1980年)。ロバート・ベントン監督。結婚8年目にして妻の自立心から結婚生活が破綻した夫婦と幼い息子。離婚・親権争い、女性の自立など社会問題を描いた作品。第52回アカデミー賞作品賞受賞。『クレイマー、クレイマー』デジタル配信中/Blu−ray&DVD発売中 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
*4 子どもと離れて暮らしている親と子どもが、直接会ったり、それ以外の方法(手紙や写真のやり取り、電話やメール、プレゼントの受け渡しなど)で親子の交流をしたりする権利。家庭裁判所の元調査官らによって設立された「FPIC(エフピック)・家庭問題情報センター」といった第三者機関が面会交流の橋渡しをしている。