欧州諸国の優先的課題はウクライナ戦争と対露政策だろうが、対中脅威認識が欧州内で以前より高まっているのも事実だろう。習近平訪欧直前のタイミングで、長らく既知であった欧州各国における中国のスパイ活動を各国で一斉に摘発したことも、無関係ではないだろう。
その根本は、中国の対露支援で、ロシアに対峙すればするほど、中国の影(欧州の安全保障に対する中国のマイナスの影響)が明白に認識されるようになった。これは、欧州とアジアとの連携を強化する好機となる。
東京にNATO事務所ができるかどうかより、実際の連携の強化がより重要だ。ただし、アジア地域での実際の紛争に欧州が物理的に参画するかどうかの期待値は下げておく必要があろう。より重要なのは中国が、欧州が関与してくる「可能性」を認識することであり、その点で頻繁な合同演習の開催の意味は大きい。
カギを握るグローバルサウスの仲間づくり
第三は、グローバル・サウスの中で、意味のある協力相手を見出し、協力を強化することだ。これに際しても、西側諸国が圧倒的に優位な「地力の総計」を活用し上手く連携・分担しながら事を進めることが重要だ。
優先的関与国の認識、各国に何を期待するか、その為に何をするかについての認識を共有し、調整・分担しながら友人を増やしていくための努力が必要だろう。そのための協議の場としては、G7が良いのだろう。
G7自体、継続的アウトリーチ国(インド・インドネシア・アフリカ連合議長国等の、G7のアウトリーチ国会合に常に招待する国)を決めることで、その様な努力の核となることができるだろう。