中国はどう動くか
このようにしてロシアは新しい、そして相当規模の大きい経済的可能性を世界経済に提供することになる。今回のプーチン大統領の訪中はおよそ以上のような脈絡で捉えるべきだ。
中国はロシアという専制的同盟国を失う危険があるのだ。そして、ユーラシア大陸がほぼ全域で民主主義を志向する空間になる。ことと次第ではそれが可能だ。
新しいロシアが中国を武力で威嚇したり侵略したりすることは無い。しかし、ロシアの民主化志向に伴って数千キロにおよぶ中露国境線は俄然その性質を変える。ウラジオストク港は自由港になる。中国はアジア太平洋で行動する時、中露国境のことを考えねばならなくなる。
民主ロシアの出現によってNATOは不要になり、在欧米軍は米国自身の安全保障上の本丸というべきアジア太平洋に移動できる。
ロシアの将来に関する中国の懸念は決して小さくはない。早い話が国連安保理の議論も劇的に変わる。世界で専制国家はほぼ中国だけということになるから懸念はなおさらだ。
中国にとって居住まいの悪い環境だ。もちろん、中国は局面を打開するために多様な選択肢を持つだろう。
その内の一つはリベラルで繁栄しそうなユーラシア大陸のダイナミズムに中国自身が参加することだ。それは全く排除されない。
中国がそういう「大人の選択」をすることを期待したい。