2024年7月16日(火)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年5月31日

補聴器が認知症回避につながる

「加齢性難聴に対しては、なるべく早期に介入して聴覚刺激を増やすことで、言語機能や言語による情動といった高次機能を活性化できる可能性があります。逆に言うと、聴覚刺激が減ることで脳内に何かしらの変化が起こることが考えられます。実際、加齢性難聴の患者さんに脳の萎縮が見られることがあります。

 また、米国で行われたコホート研究(→注)の結果から、難聴によって認知機能が低下し、軽度から中等度の難聴を放置すると、7歳歳上の人の認知機能と同じになることがわかりました。さらに、フランスや英国での大規模なコホート研究でも難聴と認知機能低下には明らかな相関が認められ、補聴器を装用している難聴者の場合には認知機能の低下がないことが報告されています」

 つまり、補聴器が認知症回避に役立つ可能性があるということだ。しかし日本は先進諸外国に比べて、補聴器の普及が遅れているという。それはいったいなぜなのか。

 次回は、補聴器普及の現状を見ながら、普及を妨げている原因について考える。(続く)

注1)コホート研究とは、「特定の要因」を持つ集団と持たない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる研究のこと。

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