2024年4月20日(土)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年3月8日

認知症人口は、2025年には700万人になると言われている(厚労省「認知症高齢者の将来推計について」より、認知症施策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)。この連載では、認知症を回避するためにできることはあるのか、また、認知症対策として今、どのようなことが行われているのかなどについて、様々な現場に足を運びながら見ていく。なお、筆者の立場は、「離れて住む実家の母の認知症を防ぐこと」。よって、対策を見ていく際には、「どうすれば自分以外の人にその対策を行ってもらうことができるのか」も合わせて考えていきたい。

認知症の「リコード法」とは?

(Flashvector/gettyimages)

「リコード法」という認知症の治療プログラムがある。

 アメリカ・カリフォルニア大学の名誉教授、デール・プレゼデン博士が開発したもので、2014年に論文として発表されると、世界で大きな注目を集めた。2017年には書籍も出版され、日本でも翌2018年に『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム刊)として発売された。

 とはいえ、私自身が知ったのはごく最近。リコード法を取り入れている医師を知ったのがきっかけである。

 その医師とは、精神科医の今野裕之先生。

今野裕之先生

 今野先生はリコード法を実践するため、2016年に新宿にブレインケアクリニックを開院。今日までにおよそ200人に対してリコード法に基づく治療を行ってきたという。

「リコード法は、軽度認知障害(MCI)と初期のアルツハイマー型認知症の患者を対象とする治療プログラムです。アルツハイマー病は、脳の中にアミロイドβという異常なタンパク質が脳内に沈着することで脳の神経細胞が障害されていき、最終的に脳の萎縮が起こります。アミロイドβが溜まってくる原因にはさまざまなものがあるため、詳細な検査によってそれらを明らかにし、アミロイドβが蓄積しないようにするためのプログラムをおこなうのが、リコード法です」(今野先生、以下同)

 具体的に伺っていく前に、まずはアルツハイマー型認知症について、ざっと勉強しておこう。

 そもそも認知症の原因となる病気には、アルツハイマー病、血管性障害、パーキンソン病などがある。そのうち一番多くを占めるのがアルツハイマー病で、全体の7割近くを占めるとされる。ただし、以前取材した国立長寿医療研究センター所長の桜井孝先生によると、「認知症の原因疾患としてはアルツハイマー病が有名ですが、認知症の原因疾患は、実は100以上あると推測されます。そして複数の病気が重複することが多いともわかってきました」とのことであった。(連載第5回『リスクを低減する行動とは?(前篇)』参照)

 アルツハイマー病では、脳の中にアミロイドβという異常なタンパク質が蓄積することで脳の神経細胞を破壊したり脳の萎縮を招いたりして、記憶や判断力などの認知機能を低下させるとわかっている。そのため、アミロイドβを取り除く治療薬の研究開発が進められてきているのだが、これまでに効果的なものはできていなかった。

 よって、投薬治療は神経物質に働きかけるなどして認知症の症状を緩和・軽減させようとするものが中心となっている。このように、「根本原因を取り除く治療薬がない」ことからも、「認知症は一度発症すると、治らない」と思われてきた面もある。

 そんな中、去年2023年に、アルツハイマー型認知症の治療に光を差し込む出来事があった。新薬「レカネマブ」の登場である。

 レカネマブは、アミロイドβを取り除く薬として日本で初めて厚生労働省に認可されたもので、認知症の根本治療につながるのではないかと期待が寄せられている。薬によってアルツハイマー病の原因となるアミロイドβを取り除くことができれば、「認知症は治らない病気でなくなる」可能性が生まれるかもしれないのだ。そういう意味で、レカネマブの登場は認知症治療の大きなターニングポイントになったと言っていいだろう。

 ただし、現時点では、治療を受けられる人が限られていたり、治療の負担が大きかったり、副作用の問題があったりするために、「誰もが気軽に取り入れられる段階」ではまだない。


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