決済不全が連鎖する「システミック・リスク」
全銀システムには、ホストコンピューターが設置された「全銀センター」と、各金融機関が全銀センターに接続するための「中継コンピューター」(RC:Relay Computer)があり、1973年に稼働してから、これまで目立ったシステム障害はありませんでした。
しかし、2023年10月10日、全銀システムと各金融機関をつなぐ中継コンピューター(RC)に不具合が生じ、送金障害などのシステムトラブルを引き起こしました。具体的には、RCのOS(Operating System)更改時に10の金融機関*6がシステムダウンし、為替業務が全面的にできなくなるといったものでした。
なお、決済には“連鎖”するリスクがあります。システム障害によっておカネの送金ができなければ、その入金を当てにしていた支払いまでが滞ってしまいます。このように、特定の箇所で生じたトラブルがドミノ倒しのように連鎖し、システム全体を機能不全に陥れてしまうことを「システミック・リスク」(Systemic Risk)といいます。
実際、全国の金融機関では、他行宛ての振込に遅れが出るなどのトラブルが発生し、一部の自治体では手当が届かないなどの影響もあったと報じられています。社会の基盤を支えるインフラは様々ですが、このような決済システムも生活に欠かせない重要なインフラ(決済インフラ)であると言えるでしょう。
*6 その10行に共通しているのは、ホストコンピューターが同じ会社のものであることも報道されていました。