急拡大するポイントサービス
最近、私たちの経済活動全体を通して急速に広がっているのが「ポイントサービス」(プログラム)です。ポイントサービスとは、購入した商品価格の数パーセント分がポイントで還元される仕組みのことで、ポイントを貯めればその分の商品やサービスを得ることができます。
現在では、複数の企業が参加する4大共通ポイント(楽天ポイント・Pontaポイント・dポイント・Tポイント)*3のほかに、航空会社のマイレージプログラムや小売店や飲食店のスタンプカード、クレジットカードのポイントシステムなどがあり、多くの業種・業態で導入されています。
そもそもポイントの考え方の基本は「おまけ」*4です。当初は該当のお店のみで付与され、使用できるものでした。しかし、ポイントサービスの市場規模が大きくなるほど顧客満足度も上昇し、今では急速に合併・拡大を続けています。
最近の市場調査*5によると、2021年度のポイントサービス市場規模は約2兆1千億円とのことです。特に、「楽天ポイント」など企業グループや業界を超えて利用できるサービスは、もはやひとつの経済圏を築いていると言っても過言ではないでしょう。
また、ポイントには、頻繁にサービスを利用した顧客に対して企業が提供するインセンティブ(Incentive)という性質があり、顧客満足度や顧客囲い込みの向上を目的にしたマーケティングの手法としても用いられています。しかし最近では、「ポイント値引き」などが当たり前のサービスとして常態化し、顧客ロイヤルティーの醸成に至らないケースも散見されています。そのため、より特別な価値の提供やブランド接点の構築、パーソナライズといったさらなる差別化が求められています。
*3 Tポイントはカルチュア・コンビニエンス・クラブが導入したポイントです。現在は、SMBCグループ共通のポイントの「Vポイント」と合併し、名前はVポイントを継承しています。(VはVisaから)
*4 漢字では「御負け」となります。売り手が買い手との駆け引き(交渉)に負けて、サービスをするということから。
*5 矢野経済研究所「2022年版 ポイントサービス・ポイントカード市場の動向と展望」。