2024年7月16日(火)

現場搾取社会を変えよう

2024年6月20日

 輪島市の隣町・穴水町で水道設備工事を営む浜出産業にも、「早く水道を復旧させてほしい」という問い合わせが絶えない。同社社長の濵出泰治さんは「1月から4月下旬までに340件の工事を行いました。朝6時台から、夜は22時台まで電話がかかってきます。あまりに件数が多いから、夢に出てしまうほどですよ」と話す。

浜出産業社長の濵出さん(右)と宮下政司さん。年初来の水道工事は寒さで手が凍りそうになるほど大変だった

 下水道の復旧も重大な課題である。水道が復旧しても下水道が機能しなければトイレを使用できないからだ。

 国土交通省の旗振りの下、1月中旬から4月下旬まで、石川県の下水道の調査や応急復旧工事のために全国から支援班が現地入りした。金沢市内に置かれた前線基地で責任者を務めた管清工業(東京都世田谷区)東北営業所長の大向寿史さんは「能登半島の下水道管は小口径で応急復旧工事が容易ではありませんでした。本格的な修復工事には相当の時間と人が必要になると思います」と話す。

漁師が建設会社でアルバイト
復興に向け〝総動員〟

 「ごみ集積所に汚物や生ごみが山積みになっていました。放っておいたら衛生面で問題があると思いましたね」

 輪島市立門前西小学校の避難所で責任者を務める中口喜久男さんは震災直後の避難所の様子をそう振り返る。

「被災者が自宅に戻ってからが本当のスタート。気力を持てるように応援します」(門前西小避難所の中口さん)

 同市内で家庭ごみなど一般廃棄物の収集を請け負う門前生活環境(石川県輪島市)が収集を再開できたのは1月6日。出勤した収集員4人が、各避難所に積み重なった大量のごみを丸一日かけて回収した。社長の定見充雄さんは「満足に水も電気も使えない中、収集員は手をかじかませながら職務を全うしてくれました」と振り返る。

 小誌取材班は、同社に許可を取り、松井直志さんが運転するごみ収集車の後を車で追いかけ、避難所の可燃ごみ収集に同行した。集積所に到着すると、ひと際、異臭を放つ黒い袋が山積みになっていた。避難所で暮らす被災者の簡易トイレ後の汚物(し尿)だという。


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