「顧客は常に正しい」のか
柳井氏は「顧客は未来」「顧客に集中する」と言っている。では、「顧客」はどのような存在であり、どのように集中すべきだろうか。
「顧客は常に正しい」とは、米国の百貨店経営者、マーシャル・フィールドの言葉として知られている。米国東部の人気スーパーマーケット「スチューレオナルド」ではこの言葉をルール1とし、ルール2として「顧客が間違った場合、ルール1を読み返せ」と続け、事業の根本に顧客を置いている。
一方、アップル創業者のスティーブ・ジョブズはこう言い、底の浅い安直な顧客理解を戒めている。
「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルがバラを10本贈ったら、君は15本贈るだろうか? そう思った時点で君の負けだ。その女性が何を望んでいるのか、見極めることが重要なんだ」
たしかに、いまでは生活に必要不可欠な存在ともいえるスマートフォンの元祖「iPhone」が07年に発売される前、顧客は誰一人としてそのような商品ができることをイメージしていなかったはずだ。
顧客以上に顧客のことを考える──。真の差別化はその先にあり、自社の独自性も同様である。
【商いの言葉】
業界は過去であり顧客は未来そのもの
ライバルを気にするより顧客に全力を注ごう
業界は過去であり顧客は未来そのもの
ライバルを気にするより顧客に全力を注ごう