2024年7月3日(水)

商いのレッスン

2024年6月29日

「顧客は常に正しい」のか

 柳井氏は「顧客は未来」「顧客に集中する」と言っている。では、「顧客」はどのような存在であり、どのように集中すべきだろうか。

 「顧客は常に正しい」とは、米国の百貨店経営者、マーシャル・フィールドの言葉として知られている。米国東部の人気スーパーマーケット「スチューレオナルド」ではこの言葉をルール1とし、ルール2として「顧客が間違った場合、ルール1を読み返せ」と続け、事業の根本に顧客を置いている。

 一方、アップル創業者のスティーブ・ジョブズはこう言い、底の浅い安直な顧客理解を戒めている。

 「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルがバラを10本贈ったら、君は15本贈るだろうか? そう思った時点で君の負けだ。その女性が何を望んでいるのか、見極めることが重要なんだ」

 たしかに、いまでは生活に必要不可欠な存在ともいえるスマートフォンの元祖「iPhone」が07年に発売される前、顧客は誰一人としてそのような商品ができることをイメージしていなかったはずだ。

 顧客以上に顧客のことを考える──。真の差別化はその先にあり、自社の独自性も同様である。

【商いの言葉】
業界は過去であり顧客は未来そのもの
ライバルを気にするより顧客に全力を注ごう
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Wedge 2024年7月号より
あなたの日常が危ない 現場搾取社会を変えよう
あなたの日常が危ない 現場搾取社会を変えよう

水道、電気、介護、ごみ収集……。私たちの日常は数々のエッセンシャルワーカー(EW)によって支えられている。しかし、現場の最前線で奮闘する彼らは長年軽視され、あらゆる現場は崩壊の危機に瀕している。これ以上の現場搾取は許されない。EWの待遇改善のため、そして、日本人の固定観念を変えるため、小誌取材班は現場を歩いた。


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