エピソード2は海外でテロに遭った邦人の遺体の搬送。エピソード3は幼馴染の大企業の社長がソウルで死んで、社葬を取り仕切る友人のために台風で羽田直行便が飛ばない状況のなかで、上海を経由して遺体を運ぶ物語である。社長と友人の社長は田舎の幼い頃、「葬儀には総理大臣を呼ぶようになりたい」と話し合っていた。その約束は果たされた。
死をきっかけに噴出した二つの事実
エピソード4(6月30日)に至って、ドラマは米国で事故により亡くなった不倫していたふたりの遺体は同じ輸送便で送られることになった。担当は伊沢の会社である。新人の凛子(松本)がふたりの宿泊先のホテルと参加していたツアーが同じなことに気づいた。
一方、日本に縫製工場で働いていたベトナム人女性が交通事故で亡くなって、日本で荼毘にふして母国に送られることになっていた。
不倫のふたりは、同じ大学病院でしかも同じ部屋で並んで解剖することになった。しかも、待合室が込み合っていて、死んだ女性の夫・大久保啓介(竹森千人)と、死んだ男性の妻・塚原純子(高橋由美子)が同じ部屋になった。前者の夫が後者の妻に頭を下げる。「わたしの妻はあなたの夫と不倫をしていました」と。
謝られた妻はその言葉を信じないで、夫の携帯のSNSを開いて確認すると不倫を裏付けるやり取りが明らかになった。そのなかで、夫が不倫相手の女性に高額な指輪を贈ったということがわかる。
妻は怒りにかられて、不利相手の指を切断して指輪を渡せと要求する。死体は膨張しているので、指輪を外すことが難しいからだ。チームの柊(城田)は、「それでは本当に切断しますよ」と、ノミを指にあてて切断するしぐさをする。
縫製工場で働いていたベトナム人女性のグエン・ティ・スアン(リエン)の遺体を警察から、火葬場に運ぶ途中でスアンの同僚だという漫画家志望の上田礼人(濱津隆之)が、搬送車を乗っ取る形となって、職場の縫製工場に乗り付ける。
さらに、工場の搬入口に車を入れてシャッターを閉める。工場長の垣内照夫(近藤芳生)に対する要求は、スアンら技能実習生の未払いの賃金を支払うことと、労災申請をすることだった。
ベトナム人技能実習生ばかりではなく、低賃金とサービス残業に苦しむ日本人従業員もシャッターが閉まった搬入口の前に座り込んだ。
「未払いの賃金を支払えば、職場に戻るんじゃない」と、伊沢(米倉)が言うと、すわりこんでいた従業員はうなずく。社長の垣内はいやいやながら要求をのんだ。
不倫事件は、新人社員の凛子(松本)の自分がいま直面している悩みを打ち明けることによって一応の解決をみる。指輪をとるための指の切断もなかった。
「私の母が手術を受けることになって、母がもし死んだらどうするかなって。こどものころに愛情をかけてくれたことがないので憎んできました。でも、やれることをいまやればいいのかなと思っています。(不倫相手の夫の)奥様も(夫を)お送りしませんか?」と、凛子はつぶやくように説得するのだった。
これに応えるように、妻の純子(高橋)は「さっさと葬式を終わらせて、私もいい男をみつけよう」と。