2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2024年7月7日

 ベトナム人女性のスアンの葬儀は、ベトナム人の仲間らがお金を出し合って執り行うことになった。足りない分は、チームの上司である会長の柏木(遠藤)らが出すことになった。

 そして、葬儀の席にスアンの父親・ハオ(PHAN VIET LIEN)が現れる。これも仲間たちが金を出し合って呼び寄せたのだった。ハオは、一枚の絵を差し出して祭壇に飾って欲しいという。

 それは、漫画家志望の同僚で従業員の実質的なストの指導者となった、上田(濱津)がスアンを描いたものだった。ハオは「スアンが尊敬する日本の漫画家の先生に書いてもらったと送ってきました」と語る。

漫画家志望の上田(右)はスアンに絵を描いていた

 スアンの同僚は、父のハオに赤いちゃんちゃんこを差し出して着せるのだった。「日本では60歳になると着るので、スアンが作った」と。

 葬儀場に縫製工場の工場長の垣内(近藤)が弔問に訪れる。未払いの賃金と労災の申請用紙を持って。スアンの同僚は垣内にも「工場長も60歳でしょ」と、スアンが作った赤いちゃんちゃんこを手渡すのだった。

国際霊柩送還士が綾なす美しい感情

 エピソード4のラストシーン。伊沢(米倉)は帰宅の途中で、恋人の足立幸人(向井)が振り返って背中を見せながら去っていく幻想に捕らわれる。

 「待って!私には、あなたに話していない秘密があるの」

 ドラマの原作にノンフィクションという分野が取り入れられて、名作が誕生する時代である。ドラマはこれから、全6エピソードの最終章に入っていく。

 これまでも、涙が流れて魂が浄化されるような感覚に陥った。伊沢(米倉)が恋人に隠していた秘密も含めて、国際霊柩送還士たちが綾なす感情の美しさに感動することだろう。

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