2024年7月16日(火)

田部康喜のTV読本

2024年6月5日

 「BLUE MOMENT(ブルーモーメント)」(フジテレビ系、水曜よる10時)は、山下智久を災害から人命を守る、政府に新設されたSDM本部(特別災害対策本部)のリーダーの気象学者・晴原柑九朗(はるはら・かんくろう)役に配した異色のドラマである。

山下智久だけではない、出演者たちがそれぞれ個性的な演技をみせる「ブルーモーメント」(フジテレビHPより、以下同)

 大地震と大津波、豪雨など、巨大な自然災害に襲われている列島のなかでいま、憲法改正論議のなかで緊急事態条項が論議されようとしている。ドラマは、架空のSDMの本部を舞台にして、こうした危機管理体制について深く考えさせられる。物語は省庁横断的に人材を集めていきながら、SDMの体制を整えると同時にその成果を求められる。

 個性的な登場人物たちが団結しながら目的に向かう。同一の筆者による作品の出版数がギネスブックに記録されている、コミック「ONE PIECE(ワンピース)」(尾田栄一郎作)を想起させるかもしれない。また、この作品の作者である尾田氏がオマージュを捧げているといわれる映画「七人の侍」(黒澤明監督)を思わせる。

 「ブルーモーメント」の魅力もSDMに集まってくる俳優たちの演技にある。晴原(山下)の助手の雲田彩(くもた・あや)役に出口夏希、東京消防庁から出向してきたレスキュー隊員の園部優吾(そのべ・ゆうご)役に水上恒司、緊急医療を担当する脳外科医の汐見早霧(しおみ・さぎり)役に夏帆、晴原の婚約者の気象学者で5年前の関東豪雨のなかで亡くなった、園部灯(そのべ・あかり)役に本田翼……。いずれも主演級の俳優たちである。


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