そして、今や台湾を取り囲むように日米比の安全保障面での協力が強化されている。中国が現在南シナ海でフィリピンに圧力をかけているが、これは、日米比協力を中国が如何に問題視しており、何とか分断を図りたいと考えていることを如実に示している。
「ロシア支援」で課される足かせ
そして、中国が最も問題視してきた欧州諸国のインド太平洋における共同訓練への参加は、益々定期的かつ広範になりつつある。本年のリムパックには、ドイツ海軍フリゲート部隊に加え、仏、イタリアも参加し、一部はその後、中比緊張が高まる南シナ海を航行予定。また、独、仏、スペインは、同時に多数の戦闘機をアジアに派遣し、日米豪と共同演習予定である。
さらに、習近平主席自身による5月の欧州訪問での直接的働きかけにもかかわらず、直後の6月13日には、欧州連合(EU)が中国電気自動車(EV)の損害を認定し、暫定的38.1%の関税上乗せと、中国側との協議で状況が改善しなければ7月4日以降発動することを発表した。
また、ウクライナ平和サミットとの関係では、招待されたにもかかわらず欠席を選択したばかりか、他国に欠席を呼びかけることまでし、グローバルサウスの中国イメージを悪化させたし、そこまでしたにもかかわらず、習近平訪欧先のセルビアとハンガリーは、サミットに出席しただけでなく、共同コミュニケにも賛成した。
そして、訪欧時には、「ロシアに武器は輸出しない」とのコミットメントで何とか乗り切れると考えたのだろうが、その後の主要7カ国(G7)では、ロシアの戦争継続を実質的に支援しているとの評価で、新たな制裁を課された。
そのような状況にある中国が、北極問題についてもロシアが頼りにならないと欲求不満を高めている、というこの記事は大変に興味深い。その一方でロシアが北朝鮮にちょっかいを出していることを考えれば、いずれ中国が対露姿勢のニュアンスを微妙に変える可能性も、全く想定外では無いかもしれない。