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イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ自治区ガザ地区の保健省は13日、同地区南部でイスラエル軍が行った空爆で少なくとも90人が死亡したと発表した。この空爆はハマスの軍事部門トップを標的としたもの。
ハマス運営のガザ保健省によると、ガザ南部の人道支援地域に指定されている場所にイスラエル国防軍(IDF)の空爆があり、少なくとも90人のパレスチナ人が死亡した。
同省は声明で、約300人が負傷したとしている。
IDFのこの空爆は、ハマス軍事部門トップのモハメド・デイフ氏とその副官ラファ・サラマ氏を標的としたもの。
デイフ司令官はこれまで繰り返し、拘束や暗殺作戦を逃れてきたため、ガザ地区では伝説的な人物のように扱われている。
イスラエルによると、デイフ司令官は1996年に数十人が犠牲になったバス爆発攻撃などを首謀し、ハマスによる昨年10月7日のイスラエル奇襲攻撃の作戦策定にもかかわったとされている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は13日夕の記者会見で、2人のうちいずれかが殺害されたという「確証はない」と述べた。
「人道支援地域」に空爆か
空爆はハンユニス郊外の、IDFが人道支援地域に指定していたアル・マワシ地区を襲った。
同地区で空爆を目撃した人は、現場はまるで「地震」が起きたようだったとBBCに語った。
現地の様子を捉えた複数の動画には、火がくすぶるがれきや、担架に乗せられた血まみれの負傷者が映っている。
大きなクレーターができた場所で、がれきの中を必死に素手で捜索しようとする人たちもいる。
BBCヴェリファイ(検証チーム)が空爆の被害状況を捉えた動画を分析したところ、IDFのウェブサイトに人道支援区域として表示されている場所が空爆されたことが確認された。
ネタニヤフ首相は、同国の治安部隊から説明を受けた後に作戦実行を命じたと説明。付近に人質がいないことや、作戦による巻き添え被害の程度、どのような武器が使用されるのかを把握しておきたかったのだとした。
ネタニヤフ氏は記者会見で、ハマス幹部を全員根絶やしにすると誓った。
「どのみち、我々はハマスの指導者全員にたどり着く」
ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏は後に、ネタニヤフ氏が「凶悪な大虐殺」によってガザでの停戦を阻止しようとしていると非難したと、AFP通信は伝えた。
ハマス側は、同組織の指導者たちが空爆の標的になっているとの主張は「誤り」だとしている。
「イスラエルがパレスチナの指導者を標的にしていると主張するのは初めてのことではない。そして、こうした主張は後に誤りであることが証明されるだけだ」と、ハマスは声明で述べた。
IDF関係者は、空爆は「民間人のいない」「開けた場所」で行われたとした。IDFが人道支援地域に指定していた場所に空爆があったかどうかについては明言を避けたが、ハマス指導者たちは「皮肉にも」民間人のいる地域に陣取っていると述べた。
この関係者はまた、昨年10月にハマスに連れ去られたイスラエル人の人質がこの地域にいたという認識はなく、「精密攻撃」を実施する前に「正確な情報」が収集されていた付け加えた。
再び「暗黒の日」に
今回の攻撃による影響に対処している病院の医師の1人は、「暗黒の日」がまた訪れたとBBCに語った。
モハメド・アブ・レイヤ医師はBBC番組「ニューズアワー」に対し、搬送されてくる人の大半は死亡しており、その他の人たちは破片で負った傷に苦しんでいると述べた。
まるで「地獄」にいるようだとも話し、死傷者の多くは民間人、特に女性や子供が占めていると付け加えた。
南部ラファのクウェート野戦病院の様子を捉えた動画には、患者が床の上で治療を受けるなど、混乱した光景が映っている。
ハンユニスのナセル医療複合施設は「ひっ迫」し、もはや機能していないと、イギリスの慈善団体「パレスチナ人のための医療支援(MAP)」は指摘している。
(英語記事 Hamas-run health ministry says 90 killed in Israeli strike targeting military chief)