解体 ロシア外交

2013年12月19日

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混乱する与野党

 そこで、ヤヌコービッチも大きな妥協に踏み切り、12月10日には、クラフチューク氏ら3人の歴代大統領と会談し、与野党の主要勢力が収拾策を話し合う「円卓会議」を11日にも開催する意向を明らかにし、野党側に対しては対話に応じるよう求めた。この際、ヤヌコービッチは、円卓会議で妥協が成立すれば、AAに来年3月までに署名できるとも述べた。同日、ヤヌコービッチはEUのアシュトン外交安全保障上級代表とも会談し、平和的解決に向けて取り組む意向を表明したという。

 そして11日にはヤヌコービッチが自ら野党を含む全勢力に対話を呼びかけた。だが、野党第1党「連合野党・祖国」を率いるティモシェンコは「ギャングとの円卓会議はありえない」として反発し、アザロフ首相とヤヌコービッチ大統領の両首脳の辞任を求めるばかりだったが、一方で同党のヤツェニュク幹部は12日、参加には「広場に集う市民からの『委任』を得る必要がある」と述べ、対話に応じる可能性に含みを持たせるなど、同政党内にも考えのブレがみられるようになっていた。また、野党も一枚岩ではない。党内ではデモ制圧の責任者、ザハルチェンコ内相の辞任を対話に応じる条件とする声も浮上しているが、別の有力野党「自由」のチャフニボク党首は首相辞任などこれまでの「全ての要求を満たす必要がある」と強調していた。

 それでも、結局、13日に野党勢力が「対話路線」に転換し、大統領と円卓会議を提唱したクラフチューク氏ら歴代大統領3人、野党第1党「連合野党・祖国」幹部のヤツェニュク氏、野党第2党「ウダル」のクリチコ党首、野党「自由」のチャフニボク党首らが参加する円卓会議が実現し、大統領は野党側の態度硬化の原因となった治安部隊による野党支持者らの強制排除について「過激な行為に憤慨している」と事実上の謝罪も行なった。ただ、政権側は、野党側が求めるアザロフ内閣の総辞職および大統領選挙と議会選挙の前倒し実施を拒否したため、野党は独立広場の占拠を当面続ける方針を示した。

 他方、ヤヌコービッチは14日、デモ激化のきっかけとなった治安部隊による学生デモに対する強制排除の責任を問い、ポポフ・キエフ市長ら治安対策に当たった幹部2人を解任し、対話ムードの醸成に努めたが、14日、15日にも大規模デモが開かれた。

 このように、デモは大規模化しているが、ウクライナの一般市民はロシアと欧州どちらに向いているのだろうか。後篇で検証してみたい。

*後篇はこちら


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