米国の経済誌『フォーブス(電子版)』は10月30日、「世界で最も影響力のある人物」のランキングを発表した。その1位に輝いたのは、ロシアのプーチン大統領であった。ちなみに、昨年トップを飾っていた米国のオバマ米大統領はここ3年間で初めて2位に順位を下げた*。
プーチン氏に対する評価の高まり
今年のプーチン、オバマ両氏の内政・外交での成果を考えれば、『フォーブス』誌のランキング結果も当然であるように思われる。
(写真:AP/アフロ)
何故なら、オバマ大統領は、4月のボストンマラソン・テロ事件、スノーデン元CIA職員による個人情報収集問題の暴露、シリアやイランなど中東の諸問題での問題解決能力の欠如、オバマケアの不評や予算問題および国内財政のデフォルト(債務不履行)危機での混乱、そして米政府機関の一時的な閉鎖など多くの問題で内外からひどい批判を浴びてしまった。
他方、プーチン大統領は、以前と比べれば陰りは見られるが、引き続き国内での高い支持率を維持し、また米国のシリアに対する攻撃を土壇場で食い止める政治力を見せた。このシリア政策での成功は、トラブルを平和的に解決したという大きな偉業を成し遂げたとして、国際的なプーチンの威信を飛躍的に高めたといえる。
ラブロフ外相と二人三脚での実際の外交での成功だけでなく、プーチン氏が米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に9月11日に寄稿したシリア問題についての提言記事「A Plea for Caution From Russia(ロシアより慎重行動を求む)」は、米国はもとより、世界中で大きな反響を呼び、彼の世界外交での影響力を見せつけた(ただし、米国では2008年にグルジアを攻撃したロシアに言われる筋合いはないという反発の声は広く沸き起こったが)。
*ちなみに、フォーブスのランキングの3位は中国の習近平国家主席であり、現在の世界の国力も反映しているといえそうだ。なお、日本人で上位に入ったのは、日銀の黒田総裁(39位)、豊田トヨタ自動車社長(44位)、孫ソフトバンク社長(45位)、安倍首相(57位)であった。