米ホワイトハウスは17日、ジョー・バイデン大統領(81)が新型コロナウイルスの検査で陽性と確認され、軽い症状が出ていると発表した。
ホワイトハウスのカリーン・ジャン=ピエール報道官によると、バイデン氏はワクチン接種を受けており、追加接種もしているという。同氏はこれまで2度、検査で陽性となっている。
デラウェア州の自宅で隔離する予定で、「その間、すべての職務を」全うするという。
主治医のケヴィン・オコナー氏によると、バイデン氏は鼻水や咳など上気道感染症の症状が見られ、抗ウイルス薬「パクスロビド」の投与を開始したという。
バイデン氏はこの日、ラスヴェガスの支持者らを訪ね、集会で演説していた。夜には選挙演説が予定されていたがキャンセルした。
オコナー医師によると、バイデン氏はこの日の最初のイベントでは気分がよかったが、その後、検査で陽性反応を示したという。
バイデン氏はラスヴェガスの空港で記者団に体調を聞かれると、親指を立てて「体調はいい」と答えた。それから、大統領専用機に乗り込む際、タラップをゆっくりと慎重に上った。
バイデン氏はその後、X(旧ツイッター)で、自分の健康を祈ってくれる人々に感謝するとともに、治療中も「アメリカ国民のために仕事をする」と表明した。
個人アカウントからの投稿では、まず「I'm sick」と書いた。そのまま読めば「自分は病気だ」という意味だが、これに続けた投稿から、これは「いやな気分だ、辟易(へきえき)としている」の意味だと判明。続けて読むと、「(Xなどを所有する)イーロン・マスクと彼の金持ちの仲間たちが、今回の選挙を買収しようとしていることに辟易としている。もし賛同するなら、ここに寄付してほしい」という意味だった。併せて、寄付のポータルサイトのリンクを示した。
初めて撤退の可能性に言及
バイデン氏をめぐっては、6月末にあった討論会で精彩を欠いたことを受け、高齢を理由に大統領選挙から撤退するよう求めるプレッシャーが高まっている。
そうした要求を表明する民主党議員は、ここ数週間で約20人に上っている。
17日には同党のアダム・シフ下院議員(カリフォルニア州)が、ドナルド・トランプ前大統領を相手にバイデン氏が勝てるのかどうか、深刻な疑念を抱いていると発言。後継者に「バトンを渡す」ようバイデン氏に求めた。
シフ氏はまた、バイデン氏を「米国史上、最も影響力のある大統領の1人」だと呼んだ上で、他の民主党員に道を譲ることで、「リーダーとしてのレガシーを確固とする」ことができると述べた。
複数の米メディアによると、議会民主党トップ2のチャック・シューマー上院院内総務とハキーム・ジェフリーズ下院院内総務が最近、バイデン氏と個別に会談。同氏が党候補者になれば、大統領選と同時に実施される上下両院の選挙にもマイナスの影響が及びかねないと、深い懸念を伝えたという。
この報道を受け、ホワイトハウスのアンドリュー・ベイツ報道官は、「大統領は両院内総務に対し、自分が党の候補者で、勝利するつもりだと伝えた。また、働く家族を支援するための100日間のアジェンダを可決するため、両者と協力することを楽しみにしていると話した」と述べた。
一方、ジェフリーズ氏の広報担当は、「個人的な会話だったし、今後もそのままにする」と内容は公表しない方針を示した。シューマー氏の事務所は、この報道を「単なる憶測」と退けた。ただ、同氏が「自分の選挙区の意見をバイデン大統領に直接伝えた」と付け加えた。
バイデン氏は17日夜に放送予定の米放送局BETとのインタビューで、アメリカが非常に「分裂」している状況で、大統領職を誰かに託せるとは思わないと話した。
ただし、自分に「病状」があると担当医の1人でも指摘すれば、選挙戦からの撤退も検討すると、撤退の可能性に初めて言及した。