2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2024年7月21日

 ヨウコは、戦場で数々の死を看取った経験から確固とした死生観をもっている。まごころの医師たちが雑談のなかで、米国の医療は医療保険に入れる人のなかでも、金額の多寡があり、そもそも保険に入れなくて死んでいく人も多い。つまり、「命の値打ちが異なる」と結論づけていた。

ヨウコ(小池、左)が亨(仲野)へ「命とは」を説く。世界につながるメッセージだ

 ヨウコ(小池)は、美容整形外科医の亨(仲野)に「金持ちも貧乏人も戦場では、命の価値は同じじゃあ」と、岡山弁で言い切る。

歌舞伎町に集まるさまざまな矛盾

 第2話(7月10日)では、「トー横女子」と呼ばれるマユ(伊藤蒼)が薬の飲みすぎで、まごころに運びこまれる。当直だったヨウコが措置をとってベッドに休ませる。

 マユのシングルマザーであるカヨ(臼田あさ美)の彼氏であるシンゴはマユを虐待している。その他、登場するホストも客の名前もカタカナである。つまり、それは象徴としての意味であり、何百人、何千人、何万人もの人々の代表である。

歌舞伎町での人々の奔走が現代社会の問題を見せてくる

 この町の人々を助ける活動をしているNPOの代表である南(橋本)が、SMクラブの人気を集める女性としてラブホテルに出没する。

 「トー横」は、最貧困女子あるいは買春の対象となりにやってくる、少女たちが集まるところである。

 現代の矛盾が集まる歌舞伎町にクドカンが切り込む。今シーズンのドラマの必見の1本である。「富める者も、貧しき者も、命の価値は同じである」というメッセージは、日本にみならず、世界に向かって叫ばれているように感じる。

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