2024年7月22日(月)

BBC News

2024年7月22日

バングラデシュの最高裁判所は21日、公務員採用の優遇措置案の大部分を破棄すると発表した。この案をめぐっては、学生による反対運動が暴動に発展し、これまでに100人以上が死亡している。

バングラデシュ政府は先に、1971年の独立戦争の退役軍人の家族を、公務員採用で優遇する案を発表。当初の案では公務員採用枠の3分の1を家族らに割り当てていた。

しかし裁判所は今回の発表で、家族らへの割り当てを全体の5%にするとした。

アニスル・ハク法相は、政府は数日以内にこの判断を反映すると述べた。一方、一部の学生は抗議を続けるとしている。

この優遇案は、2018年にハシナ政権によって廃案となったものの、先月に下級審によって復活。抗議デモの火種となった。

最高裁は判決で、公共部門の仕事の93%は能力に基づいて採用し、5%は独立戦争の退役軍人の家族に残すよう命じた。

残りの2%は、少数民族と障害者の雇用に充てられるという。

ハク法相はBBCに対し、2009年に就任したシェイク・ハシナ首相が、国を制御できなくなっているとの見方を否定した。

「もしそうなら、この国の民衆は反乱を起こしただろう。だが国民は実際、この混乱の中で政府を支持し、『そうだ、政府は暴力を終わらせるために行動すべきだ』と言っている」

また、野党が抗議デモに参加し、「バングラデシュの発展の象徴」を破壊したと非難した。

一方、BBCが取材した抗議運動の調整役らは、政府が行動を起こすまで抗議を続けると語った。

「裁判所の判決には拍手を送りたい」と、調整役の一人、ヌスラト・タバッサム氏は語った。

「しかし、私たちの主な要求は行政府に対するものだ。要求が実現されるまで、現在進行中の全国的な完全閉鎖プログラムは継続されるだろう」

学生たちは、ここ数日で殺害されたデモ参加者に対する正義の実現、拘束されたデモ指導者の釈放、インターネットサービスの再開、閣僚の辞任などを要求している。

警察は夜間外出禁止令や通信遮断などで対応

首都ダッカは夜間外出禁止が2日目に入り、通りは閑散としている。しかし、散発的な衝突は裁判所の決定が発表された後も続いている。

これまでに約115人が死亡したとされているが、地元メディアはもっと多くの死者が出ていると報じている。19日だけでも、少なくとも50人が死亡したとされる。

政府は抗議に対し、夜間外出禁止令や通信の遮断など、厳しい弾圧で対抗した。

抗議活動の調整役によると、警察と与党・アワミ連盟の学生組織が、平和的なデモ隊に対して残忍な武力を行使しているという。政府はこれを否定している。

また、多くの人々が当局に拘束されている。

暴動では、政府庁舎や警察の検問所、地下鉄への放火も起きている。ダッカのほとんどの地区で焼け焦げた車両が見られる。

他の地域でも衝突が報告されている。ダッカ近郊の刑務所からは、800人以上の囚人が85個の武器と1万発の弾薬を持って脱走した。警察によると、これまでに58人を再拘束した。

イギリス在住のアナリスト、カマル・アフメド氏はBBCに対し、問題となった優遇措置案はアワミ連盟によって悪用されたと語った。

「この割り当て制度は、与党アワミ連盟が支持者に利益を与えるもので、今後の政権運営で、同党の影響力を定着させるための策略に他ならない」

ハク法相は、この指摘を否定している。

バングラデシュは世界で最も急速に経済成長している国の一つだが、大卒者の雇用には結びついていない。

推計によると、同国では約1800万人の若者が職を探している。特に大卒者は、大学を出ていない人よりも高い失業率に直面しているという。

(英語記事 Bangladesh court scraps job quotas after deadly unrest

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cql8g18y17yo


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