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アメリカのジョー・バイデン大統領(81)が21日、11月の大統領選から撤退すると決断し、世界中に衝撃が広がっている。この知らせに、各国首脳が反応をみせている。
バイデン氏は自分に代わる大統領候補として、カマラ・ハリス副大統領を支持し、「残る任期にかけて大統領としての職務を全うすることのみに注力する」と述べた。
多くの同盟国などからは、バイデン氏の外交政策上の功績に対する称賛や、難しい決断を下したと評価する声などが寄せられている。
「(バイデン氏の)おかげで、大西洋の両側の国々の協力関係は緊密なものになり、NATO(北大西洋条約機構)は強固になり、アメリカは我々にとって信頼できるよきパートナーとなった。選挙戦から撤退するという彼の決断は評価に値する」と、ドイツのオラフ・ショルツ首相はソーシャルメディアに投稿した。
イギリスのサー・キア・スターマー首相はバイデン氏の決断を「尊重する」とし、残りの大統領任期で共に仕事をすることを「楽しみにしている」と述べた。
そして、「バイデン大統領がその素晴らしいキャリアを通じてしてきたように、米国民の最善の利益になるという信念に基づいて決断したのだろうと、私にはわかる」と付け加えた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、バイデン氏と妻ジル氏に感謝を述べるとともに、バイデン氏をカナダ人にとっての「真の友人」と呼んだ。「彼は偉大な人物であり、彼がしていることは全て自国への愛に導かれている」。
政権から退くというバイデン氏の決断の難しさに言及する首脳もいた。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、バイデン氏は政治家としてのキャリアを通じて「困難な決断」をし、「世界をより安全に、民主主義と自由をより強固に保ってきた」と述べた。
「私には、あなたが直近の決断を発表する際にも、これまでと同じ指針に導かれていたことがわかる。おそらく、あなたの人生の中で最も困難なものだっただろう」
バイデン氏は6月末のドナルド・トランプ前大統領とのテレビ討論会で口ごもるなど精彩を欠いてから数週間にわたり、身内の民主党議員らからの、選挙戦からの撤退を求める激しい圧力にさらされていた。
しかし先週までは、選挙戦にとどまるつもりだと表明していた。現在81歳のバイデン氏は史上最高齢の米大統領。
日本の岸田文雄首相は、「バイデン大統領として政治的に最善の判断をするという思いでの判断であると認識している」と述べた。
そして、「日米同盟は言うまでもなくわが国の外交・安全保障の基軸であり、今後の動きを注視していきたい」とした。
チェコのペトル・フィアラ首相は、選挙戦撤退という決断は「責任あるものだ。個人的には難しいが(中略)それだけにいっそう価値のあるものだ」と述べた。
一方で、アメリカの政治的不確実性が高まっているとの見方も示した。
「強力で対等な2人の候補者による民主的な競争から、良き大統領が誕生することを、アメリカのために祈っている」
イタリアのアントニオ・タヤーニ副首相兼外相は、同国は「大きな落ち着きを持ってアメリカを注視しなければならない」と述べた。「我々は次期大統領が誰であれ、トランプ氏であってもハリス氏であっても、うまくやっていく」。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、バイデン氏の「厳しいが強い決断」を尊重する、「自由のためのウクライナの戦いに対する揺るぎない支援」に感謝すると述べた。
「アメリカの継続的で強力なリーダーシップが、ロシアの悪がその侵略行為で成功を収めたり報われたりするのを防いでくれることを、我々は心から願っている」
アメリカと対立する国の反応
アメリカと対立する複数の国も、バイデン氏の決断に反応をみせている。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は「最も賢明で正しい決断」とし、「(バイデン氏は)あの年齢で健康状態も低下している状態では、大統領候補として戦うことはおろか、国を率いることもできないと悟ったのだろう」と述べた。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウクライナでの戦争が同国の優先事項であることに変わりはないとし、11月の米大統領選の前に「多くの事が変わりうる」と付け加えた。
「我々は何が起こるかを忍耐強く、注意深く監視する必要がある」