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ジョー・バイデン米大統領は21日、11月の大統領選から撤退すると発表した。また自分に代わる大統領候補として、カマラ・ハリス副大統領を支持すると表明した。
バイデン氏はソーシャルメディアで、「私は、カマラが今年のわが党の候補者となることを全面的に支持し、推薦したい」と述べ、「民主党員の皆さん、今こそ団結してトランプを打ち負かす時だ」と書いた。
ハリス氏が後任の大統領候補になる可能性は高そうだが、まだ決まったわけではない。
バイデン氏の後任候補としては、他にも何人か名前が挙がっていたが、いずれもハリス氏を支持している。そして推薦が正式に決まれば、副大統領候補という伴走者が必要になる。
民主党は来月の全国大会で代議員による投票を行い、バイデン氏の後任と、副大統領候補を正式に決定する。
副大統領候補としてすでに名前が挙がっている人物を紹介する。
グレッチェン・ウィトマー・ミシガン州知事
ミシガン州で知事を2期務めるグレッチェン・ウィトマー氏は、中西部で人気が高まっている民主党政治家で、2028年大統領選への出馬が広く予想されている。
ウィトマー知事は、過去にバイデン氏の選挙応援にも参加しており、政治的野心を隠そうとしていない。
6月22日付の米紙ニューヨーク・タイムズ記事でウィトマー氏は、2028年にはX世代(1965年から1970年代に生まれた世代)の大統領が誕生することを期待していると述べたものの、それはつまり自分だという意思表示には至らなかった。
2022年の中間選挙では、自分の知事再選のほか、州議会での民主党勝利を確保する選挙戦をミシガン州で展開した。
知事職と州議会を民主党が掌握したことで、同州では人工妊娠中絶の権利保護や銃規制措置の成立など、多くの進歩的政策の実施が可能になった。
ウィトマー知事は、バイデン氏の撤退発表を受けて、「これまでと同様、(中略)民主党員を当選させ、ドナルド・トランプを阻止するために全力を尽くす」という自分の仕事に変わりはないと表明した。
複数の米報道は消息筋の話として、ウィトマー知事はハリス副大統領の候補指名を支持する方針と伝えている。
ギャヴィン・ニューソム・カリフォルニア州知事
カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム氏は、バイデン政権の最も強力に代弁する一人だ。
2028年の大統領候補としてしばしば名前が挙がるが、バイデン大統領の交代要員としてニューサム知事に期待した民主党の消息筋は大勢いた。
ニューサム氏は近年、保守系メディアに出演しては民主党の主張をアピールする役割や、昨年のロン・デサンティス・フロリダ州知事との討論会を通じて、全国的な知名度を高めてきた。
ニューサム氏は今回の発表前から大統領に寄り添っていた。7月には首都ワシントンにおもむき、バイデン氏や他の民主党の主要知事らとの会合に出席。4日にはミシガン州でバイデン氏の選挙集会のトップバッターを務めた。
ニューサム氏はバイデン氏の撤退発表後、バイデン氏を「無私の」大統領として再び称賛し、トランプ氏と対決する「大胆不敵」で「粘り強い」ハリス氏を支持すると述べた。
ピート・ブティジェッジ運輸長官
ピート・ブティジェッジ運輸長官が大統領を目指しているのは、周知の事実だ。
ブティジェッジ氏は2020年大統領選に出馬。その後は、バイデン政権の高官として、特にコミュニケーション能力に優れた一人として、しばしば称賛されている。
ブティジェッジ氏は運輸長官として、国民にとっての危機的事態にいくつか対応してきた。
2022年に発生したイースト・パレスティーンでの鉄道脱線事故や、メリーランド州ボルティモアでの橋崩落事故、米サウスウエスト航空のスケジュール危機などで、連邦政府の対応を指揮した。
ブティジェッジ氏はX(旧ツイッター)で、バイデン氏は「アメリカ史上最高の、そして最も影響力のある大統領の一人に数えられる」と述べた。
そして、「カマラ・ハリス氏を次期大統領に選出するために、できる限りのことをする」と述べた。
ジョシュ・シャピロ・ペンシルヴェニア州知事
ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏は、2022年に当選して以来、高い支持率を維持している。同州は2020年大統領選ではバイデン氏が勝ったが、2016年にトランプ氏が僅差で勝利した激戦州でもある。
かつて同州の司法長官だったシャピロ知事は、党派の垣根を越えて活動してきた。
昨年には、フィラデルフィアの主要幹線道路で崩落した橋を迅速に再建したことで、全米で話題となった。これは、初当選の知事にとって大きな政治的勝利となった。
橋を素早く修復した成果は、2028年の大統領候補として有力視されているシャピロ知事にとって、インフラ整の重要性を主張する際の、うってつけの論点になると大勢に評価された。
シャピロ氏は、バイデン氏は「現代史で最も影響力のある大統領」の一人だとたたえたうえで、「カマラ・ハリス氏を第47代大統領に選出するために全力を尽くす」と声明を発表した。
J・B・プリツカー・イリノイ州知事
イリノイ州のJ・B・プリツカー知事は、トランプ氏を攻撃し、バイデン氏を擁護することで、近年知名度を高めている。
ハイアット・ホテル・チェーンの後継者として、富豪の実業家という経歴を持つ。トランプ氏に対する批判を、ソーシャルメディアに次々と投稿することで注目されている。
6月末の討論会後、プリツカー氏はトランプ氏を「嘘つき」と呼び、トランプ氏は「34件の有罪判決を受けた重罪犯で、自分のことしか考えていない」と述べた。
ウィトマー氏と同様にプリツカー氏も、中絶の権利や銃規制などについて、民主党の進歩的な課題を次々と達成してきた実績がある。
プリツカー氏は、バイデン氏は「私たちが生きてきた中で最も実績があり、効果的な大統領の一人」だったと述べた。一方、後任の大統領候補についてはコメントしていない。
その他の候補者
民主党は多くの人材を抱えているため、潜在的な候補者のリストは、これらの民主党員以外にも広がっている。
保守色の強いケンタッキー州で知事を2期務めるアンディー・ベシア氏は、昨年の再選以来、全米で注目されるようになった。
メリーランド州知事のウェス・ムーア氏は、同州ボルティモアのフランシス・スコット・キー橋の崩壊事故以来、このところ注目されている。
エイミー・クロブシャー上院議員とコーリー・ブッカー上院議員は、過去に大統領選に出馬した経験があり、民主党員の間でも知名度があるため、しばしば名前が挙がる。
ジョージア州上院議員のラファエル・ウォーノック氏も、激戦州で接戦を制した実績がある。
米CNNの取材に応じたジム・クライバーン下院議員(サウスカロライナ州)は、ケンタッキー州のベシア知事、ノースカロライナ州のロイ ・ クーパー知事、ペンシルヴェニア州のシャピロ知事の3人が、副大統領候補になる可能性を示唆した。
ベシア氏とクーパー氏は共に、2016年と2020年にトランプ氏を選んだ州で力を発揮した人物だ。
また、シャピロ氏はハリス氏と同じく法曹界の出身。民主党が11月の必勝州とみているペンシルベヴェニア州で長年にわたり選挙に勝利していることから、党内の新星とみなされている。