2024年11月22日(金)

JAPANESE, BE AMBITIOUS!米国から親愛なる日本へ

2024年7月29日

 「エンタープライズAIという世界がこれから出てくるのではないでしょうか。生成AIを活用しようとすると、各会社の法務、会計など業務をAIに学習させなければならなくなります。これは普通の人にはできなくて、この部分をいかに手伝ってあげるかが重要になります。エンタープライズAIをチャットGPTと連動させて、各企業のノウハウを学習させれば、各企業にフィットした賢い生成AIができるはずだと考える人が出てきています。この分野は大きな伸びしろがあります」と、現状を説明する。その場合に「仕事を奪われるという主張をして守る側に立つ人がいるので、それを説得できるだけのリーダーシップが求められています」とも指摘する。

強い技術インパクト
けん制し合う仕組み作りを

 問題点としては「AIにデータを学習させるときにいかにプライバシーを守るかがキーの技術になってきます。バイアスがかかったAIができたとき、それをどうやって取り除くのか。仮にそれができたとしても、何が正しい情報なのかをどうやって判断するのかは難しいのです。このため技術者だけで話をしていてもらちがあかなくなってきて、心理学や文化人類学などとの融合がますます必要になってきていると思います。

 AIは仕事のやり方を変えてしまうほどの、いわば核技術に近いほどのインパクトを与える可能性があります。それだけに核の軍事利用時には統制が必要なように、技術者とけん制し合う仕組みを作る必要があるのではないでしょうか」と話す。

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Wedge 2024年8月号より
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ

コロナ禍が明けて以降、米国社会で活躍し、一時帰国した日本人にお会いする機会が増える中、決まって言われることがあった。 それは「アメリカのことは日本の報道だけでは分かりません」、「アメリカで起こっていることを皆さんの目で直接見てください」ということだ。 小誌取材班は今回、5年ぶりに米国横断取材を行い、20人以上の日本人、米国の大学で教鞭を執る研究者らに取材する機会を得た。 大学の研究者の見解に共通していたのは「日本社会、企業、日本人にはそれぞれ強みがあり、それを簡単に捨て去るべきではない」、「米国流がすべてではない」ということであった。 確かに、米国は魅力的な国であり、世界の人々を引き付ける力がある。かつて司馬遼太郎は『アメリカ素描』(新潮文庫)の中で、「諸民族の多様な感覚群がアメリカ国内において幾層もの濾過装置を経て(中略)そこで認められた価値が、そのまま多民族の地球上に普及する」と述べた。多民族国家の中で磨かれたものは、多くの市民権を得て、世界中に広まるということだ――


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