「エンタープライズAIという世界がこれから出てくるのではないでしょうか。生成AIを活用しようとすると、各会社の法務、会計など業務をAIに学習させなければならなくなります。これは普通の人にはできなくて、この部分をいかに手伝ってあげるかが重要になります。エンタープライズAIをチャットGPTと連動させて、各企業のノウハウを学習させれば、各企業にフィットした賢い生成AIができるはずだと考える人が出てきています。この分野は大きな伸びしろがあります」と、現状を説明する。その場合に「仕事を奪われるという主張をして守る側に立つ人がいるので、それを説得できるだけのリーダーシップが求められています」とも指摘する。
強い技術インパクト
けん制し合う仕組み作りを
問題点としては「AIにデータを学習させるときにいかにプライバシーを守るかがキーの技術になってきます。バイアスがかかったAIができたとき、それをどうやって取り除くのか。仮にそれができたとしても、何が正しい情報なのかをどうやって判断するのかは難しいのです。このため技術者だけで話をしていてもらちがあかなくなってきて、心理学や文化人類学などとの融合がますます必要になってきていると思います。
AIは仕事のやり方を変えてしまうほどの、いわば核技術に近いほどのインパクトを与える可能性があります。それだけに核の軍事利用時には統制が必要なように、技術者とけん制し合う仕組みを作る必要があるのではないでしょうか」と話す。