2024年11月21日(木)

食の「危険」情報の真実

2024年9月2日

食料生産に大きく貢献

 日本のハチミツ消費量は年間約5万トン。そのうち国産は5%で、残りは輸入となっており、輸入の半分以上が中国からだ。

 ミツバチはハチミツだけでなく、蜜蝋(みつろう)やローヤルゼリーを私たちにもたらしている。蜜蝋とは、ミツバチの巣から採取される蝋で、ロウソクやワックス、化粧品、クレヨンの原料として使われる。ローヤルゼリーは女王蜂のみが食べているもので、人の健康に不可欠な必須アミノ酸や各種ビタミン・ミネラルを豊富に含み、健康食品や化粧品として高価で取引されている。

 また、ハチはこれらの生産物以外にも、農作物の花粉交配でも活躍している。春のウメやモモ、リンゴ、ナシ、サクランボなどの栽培のための受粉群だけでなく、野菜や果樹などの園芸農作物にはミツバチの受粉がないと栽培できないものが多い。タマネギなどの種子生産にも貢献している。作物栽培では、約6700億円の経済効果があると推計されている。

 養蜂は食料生産においても重要な役割を果たす。ハチミツや蜜蠟、花粉交配などそれぞれを見ていっても、その生産額は大きい(表1)。

養蜂家のくらし

 こうしたミツバチの役割を担うために、大規模養蜂家は開花に合わせて全国を移動し、蜂群を増やしながら受粉群を増やし採蜜もする。「転飼」という江戸時代にできた技術である。

 花粉交配ミツバチは、養蜂業者から施設園芸農家にリースや販売される。花粉交配用ミツバチが不足した時には他県から供給するしくみもある(日本養蜂協会など)。「養蜂振興法」という法律があり、転飼先の都道府県から予め許可を得ることが義務となっていて、ミツバチの飼養者間でのトラブル防止が図られている。

 転飼養蜂家は早春から本州以南で咲く花から蜜を集めながら、ハチを育成しながら北上していく。主に上質なハチミツがとれるアカシアの開花に合わせて移動し、夏は北海道で過ごす。北海道で蜂群を5倍ほどに増やし、秋には本州以南に持ち帰り園芸作物の受粉に活用する交配群を供給する。

 転飼の届け出数(件数と群数)は13年に2384件、14万6756群だったのが、23年には、1908件、12万9708群と減少傾向にある。(図1 農林水産省 畜産局令和6年3月「養蜂をめぐる情勢」8.蜜蜂の転飼)


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