2024年10月10日(木)

Wedge REPORT

2024年9月19日

 2024年8月、巨大物流倉庫が舞台の映画『ラストマイル』が公開しました。ラストマイルとは、物流業界において「顧客にモノが到達する最後の接点」を指します。

 2024年4月の『働き方改革関連法』施行により、トラック運転者の時間外労働の上限が制限されました。顧客にモノを届けるための運送能力が不足する『物流2024年問題』として物流業界全体に影響をおぼす可能性が懸念され、いまも注視されています。

 国内産業の問題を提起する人気記事の中から、<物流問題>をテーマにした5本を編集部が厳選してお届けします。

(THICHA SATAPITANON/shutterstock)

<目次>

1:「恩恵をまったく期待していない」物流業界の働き方改革を歓迎できない宅配ドライバーの本音(2023年4月27日)

2:<物流2024年問題の解決策?>コストコが実践する、日本の環境に適応した配送オペレーション(2023年12月7日)

3:「経営努力をしても適正運賃の4割も安い」日本の物流を支える中小運送事業者の悲鳴(2023年4月24日)

4:【100年かけてトレーラー輸送が普及した英国】国土の狭い日本でも大型車両で物流問題を解決できる理由(2023年10月5日)

5:〈物流2024年問題〉へ奮闘する公務員たち。知られざる「トラックGメン」の仕事とは?(2024年4月5日)

1:「恩恵をまったく期待していない」物流業界の働き方改革を歓迎できない宅配ドライバーの本音(2023年4月27日)

(MINT IMAGES/GETTYIMAGES)

 軽貨物運送のドライバーである鈴木純生さん(仮名、48歳)は、ハードな毎日を過ごしている。午前4時に起床し、朝食や身支度を済ませた後、午前5時過ぎに軽バンで自宅を出る。元請け運送会社の事業所に到着する午前6時からは、自身がその日に配達を担当するエリアの荷物を軽バンに積み込む作業に取り掛かる。もちろん、すべて手作業だ。

 朝一の力仕事を終えて、元請けの事業所を出発するのは午前7時半。以降は担当エリア内でひたすら配達と集荷を繰り返す。事業所に帰還するのは午後6時で、1日の拘束時間は12時間に及ぶ。

 しかもその間、休憩はほとんど取ることができない。配達、集荷ともに約束した時間帯に顧客を訪問しなければならなかったり、不在だった届け先に再配達に出向いたり、常に時間に追われているためだ――。

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宅配ドライバーの本音 働き方改革は「形骸化」する

2:<物流2024年問題の解決策?>コストコが実践する、日本の環境に適応した配送オペレーション(2023年12月7日)

写真1:コストコ社市原物流センターの全貌(出所)同社提供

 前回「国土の狭い日本もトレーラーで物流問題解決可能な理由」では、大きな国土を有する米国ばかりでなく、日本より国土が狭い英国やスイスでもトレーラーが普及していることを取り上げ、これまで日本にトレーラー輸送が普及しなかったのは、日本の国土が狭いからではなく、土地の使い方を変えずに狭く使っていたからであると指摘した。

 また、住宅と工場・倉庫の混在を所与の条件、あるいは運命と考えて甘受せず、工場や倉庫の建設が認められている工場専用地域・工業地域・準工業地域の中から、可能な限り住宅との混在の可能性が小さい立地を選択し、トレーラー輸送を前提としたヤードや建屋のデザインを導入することが重要であることも示した。

 そして、目前に迫った「物流2024年問題」に対しては、短期的には「手待ち時間の改善・削減」、「手荷役・付帯作業の改善・削減」、「適正な運賃・料金の収受/負担」を推進して行かざるを得ないが、中長期的にはグローバルスタンダードであるシャーシに載せたコンテナを含むトレーラー輸送の実現を目指す必要があるとした――。

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「物流2024年問題」解決策はコストコ日本法人から学べ!

3:「経営努力をしても適正運賃の4割も安い」日本の物流を支える中小運送事業者の悲鳴(2023年4月24日)

東京都東久留米市にある東邦運輸の東京営業所(WEDGE)

 「物流」と聞けば、誰もが宅配大手の会社の名前を思い起こすだろう。だが、日本の物流を支えているのは、多くの中小トラック運送事業者なのだ。小誌取材班は、4人のトラック運送会社の経営者に、経営手法や経営哲学、そして多くの荷主や一般の人たちに知ってもらいたい〝現実〟とは何かを聞いた。

 「2024年問題」を見据えてまず取り組んだのは、長距離路線からの撤退だった。3年前のことだ。残業規制が導入されれば、現在のリードタイム、運賃では無理だと判断した。今は関東圏内のルートを増やしている。

 とはいっても、長距離輸送の要請があれば、対応せざるを得ない。ごく少数だが、こうした要請は大手の物流企業からだ。ほぼ8割〜9割、荷役などの附帯作業もやらされる。断れば「仕事はあげない」というスタンスだ――。

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「お願いだから分かってほしい」運送事業者の社長が激白

4:【100年かけてトレーラー輸送が普及した英国】国土の狭い日本でも大型車両で物流問題を解決できる理由(2023年10月5日)

 前回「世界と比べると日本の『物流2024年問題』の核心が見える」では、米国のトラック運送がトレーラーという「箱」を台切りすることにより、ドライバーが手待ちからも荷役からも解放されているのに対し、日本は単車と呼ばれる荷台と運転台が分割されないトラックが使用されているが故に、ドライバーが手待ちと荷役作業に縛り付けられていることが、日本と米国の運送業における労働生産性の較差の核心だと指摘した。

 これに対し、多くの人がトレーラー輸送は日本の25倍もの国土を有する米国だから可能であり、国土の狭い日本では不可能だと考えるだろうし、「物流2024年問題」まで半年を切った現段階で、単車を捨ててトレーラー化を図ることは実行できないと疑問を抱く人も多いだろう。今回は、そのような疑問にお答えしたい――。

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国土の狭い日本もトレーラーで物流問題解決可能な理由

5:〈物流2024年問題〉へ奮闘する公務員たち。知られざる「トラックGメン」の仕事とは?(2024年4月5日)

埼玉運輸支局の車検場。クラクションの音や検査官の「OKです」という声が響く(WEDGE、以下同)

 「Gメン」と聞いて読者諸氏がとっさに思い浮かべるのは、万引き犯を物陰から尾行する私服警備員の姿だろうか。

 実は昨年、国家公務員にも〝Gメン〟が誕生した。国土交通省が創設した「トラックGメン」だ。

 彼らは、いわゆる物流の「2024年問題」が間近に迫る中、過積載運行の要求など、荷主や元請事業者による不正な取引を監視する役割を担う。

 各担当は一人あたり数千から数万単位の事業者に1件ずつ電話をかけ、長時間の荷待ちや運賃・料金の不当な据え置きがないかなど、ヒアリングを行う。ドライバーからは「俺たちの味方になってくれてありがとう」と、電話越しに感謝されることもあるという。

 そんな彼らが働くのは、国交省の本省ではない。「出先機関」である。

 出先機関とは、中央官庁が所掌する事務の一部を代行するため、地方に設置される補助機関のことだ。トラックGメンは国交省の出先機関である「運輸局」に所属している。その他にも例えば厚生労働省であれば、北海道、近畿、九州など8つの地域に「地方厚生(支)局」を構えている。そこで働く職員の多くは筆記試験や面接試験を経て採用された一般職の国家公務員だ――。

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〈物流2024年問題〉へ奮闘する公務員たち。知られざる「トラックGメン」の仕事とは?

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