2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月20日

 より建設的なアプローチには2つの優先事項がある。1つは飢餓や病気による死者を減らすための迅速な援助の獲得だ。

 もう1つの優先事項は、紛争を煽っている外部勢力に圧力をかけることだ。もしスーダンの軍閥の武器とそれを買う資金が減れば、殺戮は減り、戦争による飢餓も減るだろう。米国、ヨーロッパ、そしてその他の責任ある諸国は、スーダンを悪用したり、助長したりしている企業や政府高官に対しUAEのような同盟国を含めて制裁を科すべきだ。

 500日を超える無慈悲な戦闘の後でダメージを修復するのに何十年もかかるだろう。しかし、世界が今行動すれば、何百万人もの命を救い、悲惨な地政学的な余波の可能性を減らすことができる。あまりにも長い間、スーダンの戦争は無視されてきたが、今こそ注目すべき時が来た。

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UAEが積極介入する理由

 この社説は、内戦が長期化しスーダンが破綻国家となれば、その影響は、サヘル地域やアフリカの角に紛争が波及するといった単なる地域的なものに留まらず、(1)大量の難民のヨーロッパへの流出し(そうなれば欧州連合〈EU〉におけるポピュリズムがさらに力を得ることは容易に想像できる)、(2)この地域がテロリストの巣窟となる(これは米国の最も嫌がることであろう)、(3)紅海における情勢の不安定化からスエズ運河が機能不全となり世界貿易に影響が及ぶ(紅海岸にイランやロシアの海軍拠点ができれば安全保障上の問題ともなる)といった、グローバルな影響をもたらす地政学上の懸念を提起している。

 現状は、UAEの支援する民兵組織の相応支援部隊(RSF)が優勢で、エジプト、イランが支援するスーダン軍事政権やスーダン正規軍(SAF)は拠点を紅海岸のポートスーダンに移して反撃の態勢を整えようとしているようであり、スーダンがリビアのように、2地域に分裂する可能性もあるが、UAEがこの内戦に最も大きな影響力を行使しているとされる。

 UAEのアフリカ地域に対する軍事的干渉は見過ごしがたく、RSFに対する支援は10年以上に及ぶが、同時にリビアのハフタル、エチオピアのアビイ、チャドのデビ等の指導者を軍事面、資金面で支援しており、リビア、チャド、南スーダンからRSF支援のための補給ルートも有する。他方RSFは、イエメンやリビアに介入するUAEを応援するために派兵するなど、協力のネットワークも構築されている。


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