無限に新分野が拡がる美容機器市場
「その後、業務用脱毛器などを作っていましたが、「より人の美と関わる」ことを目指し美容関連全体を扱うようになりました。電気を使わないフェイスローラーなども、作りました」と、戸田氏はローラーを見せながら説明を続ける。
以降、ヤーマンはいろいろな美容家電を作り続ける。実は、美容機器はヒット商品が出ても、そのキャパは大きくない。別な言い方をすると、無数の隙間がある市場と言ってもよい。
そこで成功するには、無数のバリエーション、新製品を作り続ける覚悟が必要だ。言い換えると、大量生産ではなく、設計スピード、開発スピードが重要になる。
マーケットのニーズを聞くと、大体どんな商品が望まれているかが分かる。多くの場合、初回設計まではかなりのスピードで行く。
しかし、その先、技術、デザインを検証し、商品にまとめあげなければならない。この調整にかなりの時間がかかる。人数が多ければ多いほど時間がかかる。特に最終的に印を押す人がそれを熟知していなければならない。そうでないと、「船頭多くして船、山を登ることになる」
ヤーマンの独自性、開発力、に加え、会社の規模は、こういう時有利に働くと思われる。実際、トップと現場に妙な距離感はなく、ヤーマンにとって、多品種をプロデュースしなければならない美容家電市場はかなり相性がよい分野だと思われる。
美顔器は実にヤーマンらしい製品
「ヤーマンを代表する美顔器は、2000年代初頭に市場導入されました。以降年々改良とバリエーション追加しています」
ヤーマンを代表する製品に「美顔器」がある。多くの場合、美顔器の前に、そのモデルで使われるエネルギーの名前が入る。要するに、外から肌に向けエネルギーを照射。そのエネルギーにより、肌の細胞を活性化させようと言う考えである。
エネルギーは「電気」「熱」「超音波」「光」に大別されるが、それぞれ入り込む深さが異なる。一口に美顔器と言っても、いろいろな種類があるのだ。
中でも有名なのは「RF」を用いたRF美顔器だろう。RFというのはRadio Frequency(ラジオ波)のこと。エネルギー的には「熱」に分類され、使うと顔がほてってくるのが感じられる。が、人により状態も、肌質も異なる。誰にでもRFがベストと言うわけではない。そのための多品種展開だ。
美容家電でも精密家電に属するものは、ヤーマンの得意とするところ。現在は2種類以上のエネルギーの掛け合わせで効率的なケアができるマルチタイプがメインだ。
RF美顔器を含む美顔器はヤーマンの代名詞になる。
また近年展開している「リフト・アップ」シリーズも大人気。こちらは肌でなく、表情筋を整え、頬を上げ、小顔を作り出す。