2024年6月20日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年2月10日

「反日教育」テキストのネタ元は?

 ここで、アイリス・チャンについても触れておこう。中国系アメリカ人女性のチャンは、20代で作家デビューした後、爆発的ヒットとなる『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』を著した。ヒット後は、「歴史家」「活動家」として一躍メディアの寵児となり、90年代の終わりには、駐米日本大使とテレビ番組で歴史討論を繰り広げてもいる。

 昨今、中国が世界50カ国で日本のネガティブ・キャンペーンを繰り広げるなか、現地駐在の日本大使や領事が反論、応戦しているが、この種の活動は90年代にも行われていたのである。折しも、当時、歴史問題を最強の「対日カード」と位置づけていた国家主席・江沢民の来日とも呼応して、このときのチャンは、大使に「日本は中国に酷いことをしたにもかかわらず謝罪をしていない」と迫った。大使は過去の日本の「お詫び」の例を挙げ、真摯な反論に努めていたが、テレビを見ていた米国民には「悪行を働きながら謝罪のたりない日本」との印象だけが残ったことだろう。

 このようにスポットライトを浴びていたチャンだったが、次第に彼女の本の内容の信憑性が疑われ始める。抗議等が相次ぎ、それが原因か否かは不明だが、彼女は精神を病み、後にピストル自殺をした。死後、中国系や他の機関との関係も取り沙汰されたが、それでも、『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』がアメリカ世論に与えた影響は大きかった。

 日本との戦争について、パールハーバー以外には多くを知らなかった何百万もの米国人に、旧日本軍が「いかに悪逆非道だったか」を知らしめ、それを懲らしめた米国はやはり正しかったのだと思わせた。チャンの死すらも世間から忘れられた今となって、彼女の著書のなかの「40万人説」が形を変えて蘇り、独り歩きして米国の学校現場にばら撒かれている。これは日本にとって実にゆゆしき事態である。

米国で展開されている工作は
「慰安婦像」だけではない

 副読本はカリフォルニア州内の高校で配布、使用された。採択された背景の詳細は取材中だが、州内の成績優秀な生徒の通う高校群にて使用されたことは確かである。


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