〝親友〟孫氏の投資を讃える
ソフトバンクグループの会長兼社長、孫正義氏との会談は12月16日、やはりマール・ア・ラーゴで行われた。
会談後、両氏そろって記者会見、孫氏は今後4年間に、1000億ドルをアメリカ国内に投資、10万人の雇用を創出すると表明した。
トランプ氏は孫氏の肩を抱いて「マサ」とニックネームで呼び、「この歴史的な投資は米国への信頼を示す記念碑だ」と称賛。各国からの投影への呼び水になるとの期待感を表明した。そのうえで、半分冗談、半分真顔で、「(投資額を)2000億ドルにできないか」と水を向けて孫氏を苦笑させた。
トランプ氏が、昭恵夫人、孫氏を丁重に遇したのは、好意を寄せてくれ、利益をもたらしてくれる人、組織にはそれなりの対応をする、もっといえば、そうしてほしければ、それなりの対応を考えろというメッセージとみるべきだろう。
突如、日本関係の動きが相次ぐ
トランプ氏は当選直後、各国首脳と電話で話し合ったが、石破首相とは当選2日後、わずか5分間だった。フランスのマクロン大統領とは25分、韓国の尹錫悦大統領とは12分間に比べると短さは際立っている。
時間の長さは問題ではないとしても、石破首相がその直後、ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席の途中、米国での会談を打診したものの実現を見なかったこともあって、日本側には、トランプ氏の対日姿勢をめぐる疑念が台頭していた。
12月中旬以降になって、昭恵夫人、孫氏との会談に加え、日米首脳会談への意欲表明、ジョージ・グラス氏の駐日大使指名などが一気に重なり、あたかも〝日本週間〟といった趣をみせた。
トランプ氏の姿勢が変化したのか、就任が近づくにつれて、対日関係の日本の重要性を再認識したのかなどそのあたりの事情は推測するしかないが、日本側に対するシグナルではなかったか。
トランプ氏は孫氏とともにした記者会見で、石破首相との会談の可能性を聞かれ、「ぜひ会いたい。日本側が望むなら(就任前に)会いたい」と述べた。
日米関係の重要さも強調したが、わざわざ「日本側が望むなら」と付け加えたことで、あくまでも日本側の求めに応じてやるという響きが生じたのは否定できなかった。