トランプ氏の発言について、林芳正官房長官は、「双方の都合のいい時期に会談し、じっくりと意見交換、人間関係を構築することができればいいと考えている」(12月17日の記者会見)と述べるにとどめ、詳細に踏み込むのは避けた。
米軍経費、通商問題で強硬姿勢か
トランプ氏は、16年の選挙運動中、在日米軍経費の日本側負担について、「なぜ100%ではないのか」と強い不満を示していた。安倍氏との強固な信頼関係が功を奏して、任期中、過大な要求をしてくることはなかったが、今回の選挙中も、側近の中には、同盟国に対する米軍経費負担増について、日本も例外ではないと強調する向きもある。
岸田文雄政権での防衛費の国内総生産(GDP)比2%引き上げを歓迎しながらも、第一次トランプ政権で、国防次官補代理のポストにあり今回、国防次官に指名されたエルブリッジ・コルビー氏のように、「3%」を求める声も散見されはじめている。在日米軍経費(思いやり予算)の日本側負担は現在、2100億円程度で推移しているが、26年には改定が想定されている。
経済についても新政権の厳しい姿勢が予想される。トランプ一期目でホワイトハウスの通商会議委員長だったピーター・ナバロ氏は、中国からの輸入品に大幅な関税を課す一方、「日本も例外ではない。日本には非関税障壁がある。日本では、アメリカの自動車はほとんどみられない」(24年10月、NHKのインタビュー)と述べ、強い方針で臨むことを示唆している。
石破首相とトランプ大統領の就任前の会談が実現したとしても、先方から、これらの問題が持ちだされた場合、日本側に算段があるのだろうか。初会談が実現したとしても石破首相は喜んでばかりはいられないだろう。