消費動向をみると、24年1~9月の社会商品小売総額は前年同期比3.3%増で23年通年の伸び率7.2%増から大きく減速した。これは経済成長率をも下回っている。うち外食は6.2%増(23年通年20.4%増)、商品は3.0%増(同5.8%増)であり、23年の経済が22年の落ち込みから回復する時に見られたような勢いを失っている。
これを反映して消費者物価指数(CPI)は24年1~9月で0.3%上昇にとどまった。全国工業生産者出荷価格は11月も2.5%下落しており、デフレ圧力(供給超過)が存在することを示している。
芳しくない雇用動向
雇用動向を見ると、24年1~9月の全国都市部調査失業率平均は5.1%で上半年より0.2ポイント下がり、雇用環境悪化には歯止めがかかったようにも見える。しかし、企業の景況観(PMI:50が現状維持を意味する)は、9~11月に製造業が49.8、50.1、50.3とわずかに上昇したものの非製造業は50近辺を徘徊している。製造業雇用指数も11月48.2にとどまっている。
消費のけん引役を期待される16~24歳の若年労働者の失業率は、24年7月の17.1%から8月は18.8%へと上昇(悪化)し、11月でも16.1%と高止まっており、楽観を許さない状況が続いている。
さえない投資と対外経済状況
24年1~9月の固定資産投資は、前年同期比3.4%。不動産投資を除く固定資産投資の伸び率は7.7%で、うちインフラ投資は4.1%増、製造業投資は9.2%増であったが、全体の3割を占める不動産投資は10.1%減であり、依然として景気の足を引っ張っている。
民営企業の投資が前年同期比0.2%減となったが、その大きな原因は不動産投資の落ち込みにあり、これを除けば6.4%増であった。以上の趨勢は11月にも継続している。
対外貿易を見ると、24年1~9月の輸出入総額は対前年同期比で5.3%増、うち輸出6.2%増、輸入4.1%増であった。23年通年が対前年比減であったことと比べると増加している。ただし、直近11月単月の対前年同月比増減率は総額5.8%増だったものの、輸出1.6%増、輸入4.7%減と勢いを失ってきている。
背景には、欧米諸国との貿易摩擦激化や世界景気の先行きが思わしくないことがある。また、11月の米国大統領選挙の結果、トランプ政権が発足することになった。同政権が中国に対する懲罰的関税を拡大するとさらに減速が見込まれ、経済全体に影響するであろう。
22年以来減少傾向にある外資受け入れ額も減少が続いている。外資がこれまでの経済成長に果たしてきた役割を考えるとマイナスの材料である。24年1~9月の外資利用実施額(人民元ベース)は対前年同期比30.4%減であった。資金の流出入を示す国際収支ベースでは、24年上半期に47億ドルのマイナス(流出超過)となっている。