2025年1月8日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年1月6日

中央経済工作会議と今後の展望

 24年12月11~12日に開催された中央経済工作会議では、以上で見てきたテコ入れ策が一定の効果をあげているとの評価が下され、今後はより強化して実行していくことが確認された。

 第1に財政政策は、「積極的」からさらに踏み込んで「より積極的な」ものとするとしており、超長期特別国債の増発、地方政府特別債券の発行・使用を前倒しで実施する可能性が示唆された。第2に金融政策は、10年以来久しぶりに表明された「適度に緩和的な」(以前は「穏健な」)方針の下、金融緩和で十分な流動性を確保し、通貨供給量増加と経済成長・物価の二つの水準の予測目標を協調させて金融市場の安定を守るとしている。弱含みの続く人民元為替レートの合理的水準確保も明記された。

 25年の具体的政策項目は昨年と同様9項目であったが、内需拡大が筆頭項目と順序が入れ替わった。本稿でも示してきたように経済の最大のネックは内需不足にある。

 党・政府指導部の情勢認識がこの点を直視していることは評価されよう。ただ、財政出動が地方政府債務軽減に留まっていることが示すように、その取組みはまだ不足している。

 24年通年成長率は4.9%と見込まれ、5.0%前後という目標レンジ内ともいえるが、党・政府当局者は不満であろう。25年の成長目標の議論が始まる時期であるが、経済の足下を固めるために、さらなる財政出動に加え、雇用創出や民営企業支援策がより実効性のあるものとなることが期待される。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る