2025年12月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月21日

プーチンは苦手とする相手か?

 注目はトランプが24時間以内に終わらせるとしているウクライナの戦争であるが、取引の相手はこの記事によれば彼が苦手とする部類に属する。

 24年12月19日、プーチンは記者会見で、戦争終結の交渉開始について「我々に前提条件はない」としながら、交渉は「22年末のイスタンブールの交渉で到達した合意に基づき、現在の戦場の現実から出発する」ものとなろうとの都合の良い広範な前提条件を並べた。イスタンブールでロシアはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を放棄し中立国となること、軍備を縮小することを要求した。対するトランプは(報道によれば)、欧州がウクライナに軍を派遣して休戦の監視に当たる、欧州がロシアを抑止するためウクライナを支援して軍備を強化する(ウクライナのNATO加盟には反対)との立場であるらしいが、交渉戦略の全体像は不明である。そこには米国が危険とコストを負うことを避け、何とか休戦に持ち込みたいとの思惑が見える。

 この記事は末尾に、「米国は外国の戦争と手を切るべきだとの彼の直感」が制約として働き、「燃える世界では“取引の極意”には限界がある」ことを露呈したと書いている。この交渉態度に公正な休戦の実現を阻害する危険が潜んでいないのか危惧を覚える。

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