2025年12月5日(金)

キーワードから学ぶアメリカ

2025年1月21日

 閣僚などの行政部門は上院の承認が必要であるが、中には大きな疑問符がつく人物も含まれている。例えば、国防長官に指名されたピート・へグセスや厚生長官に指名されたロバート・ケネディJr.などについては共和党内からも反対の声があがるのではないかと指摘されている。

 実際に、これらの人物が承認されない可能性も考えられるが、ひょっとすると、トランプもその可能性については織り込み済みかもしれない。承認されなかった場合に「素晴らしい人物が民主党とディープステートの反対によって承認されなかった」と主張することで、自らの岩盤支持層に訴えかける可能性もあるかもしれない。

 なお、上院の承認に際し、少数党になった民主党だけで指名を覆すことはできないものの、審議を遅延させる可能性が十分に考えられる。トランプは共和党に休会中任命に応じるよう圧力をかけているとも報道されており、休会中任命も行われる可能性が高いが、その手法が乱用されれば上院の地位低下を招く可能性もあるだろう。

中間選挙で民主党が下院奪還の可能性

 最後に、トランプ色(あるいは共和党強硬派の特色)が強い政策が実施される期間は、おそらく26年中間選挙までの2年間に限られる可能性が高いことは念頭におく必要があるだろう。

 24年大統領選挙でトランプが勝利したのは、バイデン政権から十分な支援を得ることができなかった労働者層がトランプに投票したからだった。だが、上述の通り連邦議会内の共和党の財政保守派が積極的な財政出動を認めない可能性が高い以上、労働者層は2年後には共和党に批判票を投じる可能性が高い。

 そもそも、連邦議会は24年選挙に際しても接戦であり、おそらくトランプが進める社会政策(ジェンダー平等や人種融和に批判的な政策)に反発を感じる人々が26年の中間選挙で民主党に投票する可能性は高まるだろう。中間選挙では民主党が下院で多数を奪還する可能性が高いのである。

 また、これからの2年間でトランプと共和党多数議会が示す方針に反対する州が存在することも念頭におく必要がある。例えば今後2年間で化石燃料への回帰が予想されるが、カリフォルニア州などリベラルな州は独自に環境規制を強化する可能性が高いだろう。日本の企業なども、その点に思いをいたして行動する必要があるだろう。

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