5.0%成長は弱い消費と投資、輸出依存
下図は04年以降の中国国内総生産(GDP)成長を、消費(最終消費)、投資(固定資産形成)、輸出の各要素ごとに分解したもの。この3項目を足し合わせると、その年の経済成長率となる。
24年の5.0%成長の中身だが、消費2.2ポイント、投資1.3ポイント、輸出1.5ポイントという内訳だった。前年の4.8%成長は消費4.6ポイント、投資1.4ポイント、そして輸出がマイナス0.6ポイント。つまり、輸出の大幅な伸びが5.0%成長を支えたことになる。
図でみればわかるとおり、04年以降で成長がこれほど輸出に依存したことはない。
全体でみれば好調だが、消費と投資はかなり弱かったのが実情だ。消費の主要指標である社会消費品小売総額(小売外食売上高)は3.7%増にとどまった。統計史上ワースト3位という低い伸び率だ。
ちなみにワースト1位はコロナ禍初年の20年、2位はオミクロン株流行で上海をはじめ各都市がロックダウンした22年。つまり、コロナ禍をのぞけば最低の伸び率になったことを示している。
街中でも節約志向の高まりが感じられる。たとえば、「9.9元」(約200円)ブームだ。9.9元均一のお店やレストランなどが登場したほか、ネットモールでも9.9元均一コーナーが開設された。
投資は、製造業だけをみれば9.2%増と絶好調。電気自動車(EV)ブームが続く自動車製造業は7.5%増、輸出も好調な情報通信機器製造業は12%増などが牽引している。しかし全体では3.2%増と勢いを書く。
不動産市場がいまだに縮小を続けているほか、民間企業の投資は0.1%減、外資企業は10%減とマイナス成長に落ち込むなど、好調な一部産業で大きな投資がある一方で、その他大勢の消極的な姿勢が目立っているのだ。