2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月7日

 トランプはパナマ運河を占領するために裁判所の許可あるいは議会の許可を求めるのか? 彼は二つの条約を破ることになろうが、問うまでもない。同様の自己防御的な態度がメディアをも覆っている。

 誰がトランプに立ち向かうのか?トランプの一期目に懐疑的であった同盟国は今日では諦め模様である。

 当時は、アンゲラ・メルケルが欧州の同輩中の筆頭だった。今日では、トランプの就任式に出席したイタリアのジョルジア・メローニが欧州の最も安定した指導者である。英国のキア・スターマーはトランプの恩寵を得ようと躍起になっている。

 デンマーク政府は、トランプがグリーンランドを併合したいと宣言した時、(国際的な)結束を期待したかも知れない。しかし、これまでのところ、抗議の声はない。

 トランプの反対陣営は、次回ホワイトハウスを奪回したとして、彼らは非常に違った国を継承するであろうことを知るべきである。トランプは彼が抱くイメージでアメリカを作り替えつつある。同じ川に2度足を踏み入れることは出来ない。

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メディアすら守勢に

 この論説は勝手気儘に振る舞うトランプの行動に掣肘を加え得るのは誰なのかと深刻な懸念を表明しているが、その懸念を共有する。民主党が次回ホワイトハウスを奪回した時には、民主党が継承する米国はトランプが抱くイメージで作り替えられているであろうとも警告している。

 誰もが腫れ物に触るように行動している印象がある。議会は頼りにならない。メディアすらも何やら守勢にあるようにこの論説は書いている。

 ワシントン・ポスト紙のオーナーであるAmazonのベゾスは、カマラ・ハリスを支持する同紙の社説を取り止めさせたことがある。ABC Newsが名誉毀損に関わるトランプによる訴訟を早々と示談で解決したこともあった。

 就任の日にトランプが出した大統領令の関連では、TikTokの問題がある。昨年4月にByteDanceがTikTokの米国での事業を売却しなければ国内での利用を禁止するとする法案が成立した。TikTokは、禁止法は憲法違反だと訴えていたが、最高裁は1月17日、禁止法の合憲性を認めて訴えを却下し、1月19日に禁止法は発効した。


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