2025年12月7日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月26日

 ウクライナの和平を「中国は助けることが出来る」と書いた。国連や 北大西洋条約機構(NATO) 、ローマ法王でもなく、中国だという訳である。トランプと習近平、その後の習近平とプーチンの最近の電話会談の公式の記録の行間を読むと、トランプはウクライナ戦争を終結させる交渉に習近平を引き込もうとしているようだ。

 今週の関税の第一弾では、トランプはカナダとメキシコには25%を課したが、対中関税は 10%だった。これに対し、習近平は取引のための一週間の猶予を設け、米国の対中輸出農産物を直ちに懲罰の対象にしないとした。

 かつてニクソン大統領がキッシンジャー補佐官を北京に送り、中国との関係正常化を探らせた時、ニクソン政権では国務長官を含めほとんどが知らされていなかった。その根本的な戦略的変動のかすかな反響を聞こうとすることには、無理があることを自分は認める。しかし、来年の今頃までには、米中関係に好ましいことが起きることに我々皆が驚かされるであろうことに自分は賭けてみる。

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中国はどう出るのか

 トランプの16年および24年の二つの選挙戦の際の中国に関する発言はまるっきり反対で際立った違いがあるとのグレアム・アリソンの観察は正しいとして、この違いから何を読み取るべきかを論じたのが、この論説である。彼の対中政策の先行きを予測することの困難は認めつつも、来年の今頃までに米中関係に好ましい転換が訪れることに驚かされることに賭けるとアリソンは述べている。

 トランプは彼の真意を語っているようだとアリソンは言うが、そこにトランプの特定の意図が秘められているのかどうか分からない。アリソンが言うように、彼の対中国観はマルコ・ルビオやマイケル・ウォルツのような正統派の対中タカ派とは異なるということかも知れないが、その正体は何かよく分からない。


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