2025年3月18日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年3月12日

 どのような中国ゲームが人気なのか? アプリ調査会社センサータワーの報告書から24年の世界市場売上トップ10を紹介しよう。

1位 ホワイトアウト・サバイバル(Century Games)
2位 PUBG MOBILE(テンセント)
3位 崩壊:スターレイル(miHoYo)
4位 コールオブデューティーモバイル(テンセント)
5位 キノコ伝説(Joy Net Games)
6位 原神(miHoYo)
7位 Age of Origins(Camel Games)
8位 パズル&サバイバル(37Games)
9位 モバイルレジェンド: Bang Bang(Moonton、バイトダンス子会社)
10位 ゴシップハーバー:マージ&ストーリー(Micro Fun)

 「原神」「崩壊:スターレイル」「PUBG MOBILE」などの大作もある一方で、怪しげな広告が目につく作品もランクインしている。

 興味深いのが中国国内のランキングとはかなり異なるという点だ。センサータワーが発表した25年1月の中国iOSゲームアプリ売上ランキングは以下の通り。

1位: 王者荣耀 Honor of Kings(テンセント)
2位: 和平精英 Peacekeeper Elite(テンセント)
3位: 穿越火線 クロスファイア(テンセント)
4位: 地下城与勇士: 起源 アラド戦記(テンセント)
5位: 金铲铲之战 Golden Spatula(テンセント)
6位: 无尽冬日 ホワイトアウト・サバイバル(Century Games)
7位: 原神 原神(miHoYo)
8位: 英雄联盟 リーグ・オブ・レジェンド(テンセント)
9位: 梦幻西游 Fantasy Westward Journey(ネットイース)
10位: 火影忍者 ―NARUTO-ナルト―(テンセント)

 海外の売上ランキングと同時にランクインしているのはホワイトアウト・サバイバルと原神だけだ。中国市場で圧倒的な実力を誇るテンセントが海外では弱いこと、大作志向が強い中国とは異なり、中小メーカーの怪しげなゲームが海外では売れていることが原因だ。中国では通用しないゲームでも、海外のゲーマーはちゃりちゃりと課金していると思うとなんだかせつない。

 中国ゲーム市場における中国ゲーム、海外ゲームの売上を見ても、中国内外のトレンド乖離は見て取れる。中国ゲーム市場はこの10年で約2.3倍の成長を続けているが、海外ゲームはあまり売上を伸ばしていない。成長はもっぱら中国国産ゲームの売上増が生み出している。

ポスト・スマホゲームを探す中国

 この10年、中国ゲーム産業は飛躍的な成長を続けてきた。その原動力はモバイル・インターネット、すなわちスマートフォン産業の発展にある。

 2010年代はモバイル・インターネットの時代といっても過言ではないが、世界の発展をリードしてきたのは中国だ。QRコードとスマートフォンでの決済を行うモバイル決済、ティックトックに象徴される動画アプリなど、中国からはモバイル・インターネットで世界的なイノベーションが生み出されてきた。

 これは偶然ではない。先進国が歩んできた発展段階をスキップして、途上国が最先端の技術をキャッチアップすることをリープフロッグ(カエル飛び)という。PCインターネットで立ち遅れていた中国は、リープフロッグによってすべての資源をモバイル・インターネットに集中させた。


新着記事

»もっと見る