揺れ動く企業の対応
言葉の上だけでなく、このDEI推進の終了によって、多くの人々の人生に関わる形で様々な変化が起きている。多くの企業が、それまで採用基準や昇進基準にDEIを掲げていたのを取りやめると発表したのだ。その中には大手金融機関や製造業、食品、小売りなど世界的大企業が数多く含まれていた。
このような中でもDEIの推進の保持した企業は、アップルやコストコなど少数派であった。もちろん、DEI推進終了を発表した企業がすべて理念的にその方針を捨てたというわけではないだろう。トランプ政権のやり方に賛同して渡りに船とDEI終了を決めた企業もあれば、DEI推進に賛成しているものの、ここでトランプ政権に目をつけられてはかなわないと表面上は右に倣えした企業も多いと思われる。
翻って日本はどうだろうか。近年日本でもDEI推進を謳う企業や大学が目立っている。そのなかには、本気で多様性を推進させなければいけないという確固たる考えのもとで始めたのではなく、なんとなく米国がやっているからということで始めたところも多いのではないだろうか。
その本家本元の米国が突然DEIをやめてしまった。今後どうするのか、その多様性に関する考えの真剣さが問われているといえるのではないだろうか。
