CD→ダウンロード型音楽配信→ストリーミング型音楽配信と、主役が移り変わった欧米では、ストリーミングサービスはCDの発展形ととらえるのは自然かもしれませんが、日本においては、CD市場の変化ではなく、ジュークボックス、着メロ、カラオケ、有線ラジオ放送など音楽を使った関連サービスやFMラジオ局などの発展形ととらえた方が自然なのかもしれません。
これまでも、CD市場に刺激を与えてきた様々な音楽関連サービスがありました。実際、米国でもストリーミングサービスの浸透とともに、アナログレコードの売り上げがシェアは小さいながらも急増しているという統計もあります。コレクションの保有と新たな楽曲との出会いというのは、別種のユーザー行動ととらえる方が自然な気がします。
日本が市場の特殊性を活かして、ストリーミングを中心とした音楽配信とパッケージ販売で各々3000億円ずつの6000億円市場を形成すれば、世界に冠たる音楽市場が出現します。デジタルの利便性とパッケージの価値を両立させる音楽市場を日本は目指すべきだと私は考えています。
岐路に立つレンタルCD業
ストリーミングでダメージを受けるのは、500億円の市場規模を持つ、日本独自の業態であるレンタルCD業です。iTunes Storeとの戦いには勝ち残ったレンタル店も、このままでは、ストリーミングサービスの普及と共に存在意義を失います。ただ、若年層の消費行動上に存在している強みを活かして、ネットと組合せたサービスを行うことができれば、新たなビジネスチャンスがあるかもしれません。構造転換期のピンチはチャンスですし、ここでもキーワードはO2Oですね。ユーザーと音楽の距離が近くなることで、商機は広がっていくのです。
2014年は日本におけるSpotify元年です。音楽ユーザーの体験が豊かになり、音楽市場が好転することを期待して注目していきましょう。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。