2025年5月16日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2025年4月30日

 ゴールデンウイーク(GW)が今年も始まった。飛び石連休になるが、ある程度まとまった時間を手にできる人も多いだろう。ゆったりとした時間の中で自分の生き方を冷静に見つめるのに参考になりそうな3冊を選んでみた。

(NataGolubnycha/gettyimages)

現代社会で「頑張る」ためには

 最初は『ゆるストイック ノイズに邪魔されず1日を積み上げる思考』(佐藤航陽著、ダイヤモンド社)から。謎かけのようなタイトルに引かれて手に取った。

 「頑張らない」「無理をしない」という声が支配的になる時代にあって、実は自分のやりたいことをしっかり実現するにはコツコツと継続することが大切、というメッセージをくれる本である。よく目にする「非ガンバリ本」とは一線を画し、自分自身に向き合う姿勢を分析している。

 著者は、米大リーグで活躍する大谷翔平選手や棋士の藤井聡太竜王・名人らをイメージしながらこう表現する。

「修行僧」のように黙々と自己を磨き続けているのです。評価されることや、他者との勝ち負けに重きを置かず、ひたすら自分自身に向き合い続けている。そんなスタイルを持っています。

 このように自分には厳しくストイックでありながら、他人に自らの価値観を押し付けない柔軟性を持つ姿勢を著者は「ゆるストイック」と名付ける。それはスポーツや将棋の世界に限らず、ビジネスやエンターテインメントなど日常のあらゆる場面で応用できると説く。著者はこう記す。

本書で提案する「ゆるストイック」という生き方は,現代の複雑な社会において、バランスを重視した新しいアプローチです。競争にとらわれすぎず、かといって怠惰な生活に流されることもない。「淡々と自分のペースで歩み続ける」というスタイルなのです。

 近年の働き方は、以前のように積極的に人を引き上げるという動きは減少している。「意欲のある人にだけ教育のリソースを割く」流れが一般化していると著者は指摘するが、冷静に考えてみると確かにそうした傾向は企業のみならず社会の多くの場面で見られる。こうした時代だけに、自己管理の重要性が増していると著者は指摘する。

多様な働き方が進む中、世の中は、「やる気のない人に関わるのはコスパが悪い」という事実に気づき、無気力な人々に時間を割かなくなりました。その事実に本人が気づくことは、さらに難しいことです。なぜなら、指摘してくれる人がもう誰もいないからです。

 自己管理のためにはどうしたらいいのか。著者は印象深い言葉で示す。


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