2025年12月5日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年4月30日

世界に広がる「おコメの金脈」

 農政調査委員会が整理した数字では、アメリカでは、コメの生産量の3割あまりが日本で生産するコメに近い単・中粒種である。輸出量は、250万~300万t程度。輸出先国には、アメリカと相互関税で係争中のメキシコ(70万t)、カナダ(15万t)、日本(42万t)などが含まれる。カナダは、全体で45万tのコメを輸入する。

 また、欧州は、300万t程度のコメ(ジャポニカ・グループ)を生産するが、需要量には足らず、550万t程度を輸入する「純輸入国」である。今後、日本の輸出先として期待できよう。

 さらに、中東、南米にも大きな輸入需要が待っている。例えば、ブラジルの日系人の人口は160万人で、単粒種の日本米になじみが深い。

 アメリカ以外の国・地域との関税関係が変わらないとすれば、チャンスは大いに存在する。問題は、価格競争と営農の継続を可能とする条件整備に尽きるだろう。つまり、日本が農政改革に動き、価格、品質で市場主導権を握る条件整備が必要だろう。

 厳しい国際情勢は、日本の農政が「所得補償」などで、競争に勝ち、営農の継続も可能になるように体制を整えれば、コメ産業にとっては良い機会が訪れたのかもしれない。

農業も国際情勢に柔軟に対応を

 農水省によれば、25年世界農林業センサス(集計中で11月には公表)の状況変化や日米関税交渉は、新しい「食料・農業・農村基本計画」には、反映されていない。環境は、今後なお変わるのであるから、前向きに、臨機応変に動こう。

 「厳しい」ばかりではない。前進のチャンスは大いにある。「アメリカの輸入関税が上がっても、それ以外の国・地域と日本との関税関係は、互恵であって、需要の拡大の余地は極めて大きい」と重ねて強調しておきたい。

 パンドラの箱を開けたとき、底の方から「出してください。私は希望です」という声が聞こえたというのだ。

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